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民医連新聞

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副作用モニター情報〈623〉 ワルファリンとロコアテープの薬物間相互作用

 ロコアテープ(成分名:エスフルルビプロフェン)は近年発売された経皮吸収型の消炎鎮痛剤です。通常の貼付剤と異なり、成分のほぼ全量が吸収されるため、2枚貼付時(80mg)と経口剤の通常用量(40mgを1日3回、24時間尿中排泄率72.8%)の暴露量とがほぼ同じで、内服薬と同程度の全身作用を有することが特徴です。そのため、全身性の副作用に加え、薬物間相互作用にも注意する必要があります。消炎鎮痛剤の代表的な副作用である消化性潰瘍の報告もありますが、今回はワルファリンと相互作用を起こした症例を紹介します。

症例)70代女性
既往歴:大動脈弁置換術後、発作性心房細動
 ワルファリン2.5mg/日、他、ジゴキシン、エゼチミブ服用中。
入院6日前:内科でカロナール200mg、プレガバリン25mg開始
入院5日前:整形外科でロコアテープ1日2枚開始
入院日:血液検査でPT-INR9.33と過延長を認め入院。ロコアテープ、カロナール中止。ケイツーN静注(20mg)を使用、ヘパリンNa1万単位持続静注(1日量1万単位)で開始
入院2日目:PT-INR1.06まで低下したため、ワルファリン2mgで再開
入院4日目:ワルファリン2.5mgへ増量
入院5日目:PT-INR1.52
入院7日目:PT-INR2.17
入院9日目:PT-INR2.54
 目標PT-INR2.0~3.0を維持しているため退院。その後外来受診後もPT-INR維持。

* * *

 エスフルルビプロフェンのCYP2C9阻害作用によりワルファリンの代謝が阻害された結果、ワルファリンの作用が増強され、PT-INR(血の固まりにくさをあらわす数値)が過延長したのでしょう。
 成分は異なりますが、ジクトルテープ(成分名:ジクロフェナク)も同様の注意が必要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1813号 2024年9月16日号)

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