副作用モニター情報〈540〉 エディロールによる高Ca血症
エディロール(一般名:エルデカルシトール)は活性型ビタミンD3製剤であるカルシトリオールの誘導体であり、強力な骨量増加作用を有するとされる骨粗鬆(そしょう)症治療薬です。
骨粗鬆症治療ガイドラインでも錐体・非錐体骨折に対する抑制効果がアルファカルシドールよりも高いとされています。
一方でエディロールの重要な基本的注意の項には、「定期的な血清Ca値の測定(3~6カ月に1回程度)」と「高Ca血症のおそれのある患者では投与初期に頻回に血清Ca値を測定する」という記載があります。これは腸管からの強いCa吸収促進作用により、特に高齢者や腎機能低下者へ投与する場合には高Ca血症の発現に注意する必要があるためです。
今回、エディロールにより高Ca血症を発症した症例が報告されましたので紹介します。
症例)90代前半、女性。自宅で転倒し鎖骨骨折。入院加療中にエディロールカプセル0.75μg/日、アスパラギン酸Ca1200mg/日が開始(補正Ca値:9.0)。エディロール開始後、徐々にふらつきや脱力感、倦怠感を訴え始める(血清Cre値:1.03)。服用開始から33日目に意識レベルの低下が見られたため各種検査をしたところ、補正Ca値:14.4、血清Cre値:1.69、推定CCr:13.2と、高Ca血症および腎機能低下がみられた。エディロール、アスパラギン酸Caを中止し、補液開始。補正Ca値、腎機能は徐々に改善し、患者の状態も改善した。
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今回の症例は超高齢者かつ血清Cre値の上昇が見られるハイリスク患者であったため、投与開始から約1カ月程度という比較的短期間に高Ca血症を発症したと考えられます。
エディロールはさまざまな診療科から広く処方されています。その一方で、投与開始後のフォローが不十分だったり、加齢による腎機能低下の評価が不十分な場合、副作用を引き起こす可能性があります。高齢者に長期間投与されるという薬剤的特性からも、定期的な採血と評価が重要です。
(民医連新聞 第1721号 2020年9月7日)
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