副作用モニター情報〈472〉 便秘治療薬ルビプロストン投与上の注意点
ルビプロストン(商品名:アミティーザカプセル)は、作用のしくみが新しい便秘治療薬です。クロライドチャネルアクチベーターと呼ばれ、小腸のクロライド(ClC-2)チャネルを活性化し、腸管内への水分分泌を促進することで排便を促します。
本剤の副作用は、市販直後調査では363例593件と61.2%の高頻度で、しかも、そのうち22例46件が重篤な副作用でした。当副作用モニターにも2012年11月の発売以降、12症例17件の副作用が報告されています。
症状別の内訳は、下痢4件、悪心・嘔吐3件、腹部膨満感2件、食欲減退、発熱、胃痛、腹痛、足のむくみ、ほてり、しびれ、咳・痰が各1件です。食欲減退は承認時には添付文書に記載されていなかった副作用ですが、市販直後調査の報告により、追記されました。また、発熱、しびれは現在も記載されていませんが、市販直後調査では発熱2件、感覚鈍麻5件、冷感・末梢冷感4件が報告されています。
ルビプロストンは、プロスタグラジン受容体のEP2(血管拡張に関係)、EP3(発熱、感覚伝達に関係)受容体に弱い活性を示しますが、ルビプロストンの活性代謝物においてはその作用の有無は検討されていません。承認時の審査報告書内では、「潜在的なリスクとして、プロスタグランジン様作用による血管拡張作用に起因する血圧低下が発現する可能性が懸念されるため、今後も情報収集する必要があると考える」と記載されるなど、腹部関連症状以外の副作用が現れる可能性は高く、アメリカの添付文書では、警告欄に「投与初期に呼吸困難が発現することがある」と記載されています。
当副作用モニターに報告された症例についても、腹部症状以外の副作用では、ルビプロストンの副作用を疑い服用中止するまでに長期間かかっているケースが多くありました。ルビプロストン投与時には、腹部関連の副作用はもちろんですが、腹部関連以外の副作用にも十分注意しましょう。
(民医連新聞 第1637号 2017年2月6日)
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