副作用モニター情報〈365〉 小児におけるシプロヘプタジン製剤の興奮、異常行動の発現
シプロヘプタジン製剤ペリアクチン(R)について、副作用モニターに寄せられた症例をまとめました。
60歳以上の6例では眠気4例、ふらつき、動悸、排尿困難各1例(重複あり)と、抗ヒスタミン作用によるものに加え、「足の筋肉がねじられる感じ」という症例でした。
1~6歳の3例では、「服用後泣きわめく状態が1~2時間くらい続いた」「石を食べようとしたり、石鹸でうがいしようとした」「服用後30分くらいして から手が震え始めて興奮状態になり暴れだし、2時間ほどでいつもどおりに戻った」という状態で、いずれも興奮、異常行動を示すものでした。
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シプロヘプタジン製剤は抗ヒスタミン剤として利用される以外に、古くから、セロトニン拮抗作用を期待され、食欲亢進、ダンピング症候群、片頭痛、セロトニン症候群に対する適応外での使用が紹介されています。
その理由を構造式に求めてみると、抗ヒスタミン剤の中では珍しく、セロトニン骨格を持っているという特徴があり、作動するセロトニン受容体サブタイプの違いにより、さまざまな作用を示すとみられます。
また、タミフルにも同じセロトニン骨格があり、この報告に挙がった小児の報告事例はすべて、タミフルの副作用と一致しています。
抗ヒスタミン剤は、抑制系中枢神経の抑制により痙攣閾値を低下させ、興奮や痙攣を誘発するともいわれますが、シプロヘプタジン製剤では、それに加えてセロトニン作用による異常行動が加わるのかもしれません。特に小児への使用については注意が必要な薬だといえます。
(民医連新聞 第1516号 2012年1月23日)
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