副作用モニター情報〈318〉 オキサトミド(抗ヒスタミン剤)錐体外路症状を見逃さないで
オキサトミドはヒドロキシジン類似の抗ヒスタミン剤です。鎮静作用は穏やかなので、古典的な抗ヒスタミン薬と比べ、眠気や頭痛の副作用が少ないとされて います。当モニターには、集計を開始した1990年から、これまでに通算で65件の報告がありました。この1年間では、めまい2件、頭痛1件、重篤な顔面 浮腫1件が報告されています(いずれも添付文書では発生率は0.1%未満とされている)。
顔面浮腫の症例は70代女性で、服用開始2週間後に目がふさがるほどのむくみが生じ、受診。心不全で治療を受けていたが悪化はなく、中止の1週間後に回復しました。アレルギー反応と考えられます。
新しい抗ヒスタミン剤が次つぎに発売されたため、本剤は処方される機会が減っていると思われますが、最近1年間の報告件数は、例年と大きな開きはありません。
ところで、オキサトミドは抗ドパミン作用に由来する制吐作用を併せもっています。ランセット誌に、小児で起きた副作用として、ジストニア(筋肉の緊張異 常による不随意運動)が6件報告されています。うち2例は常用量の投与でしたが、異常に血中濃度が高くなっていました。成人では血中半減期は5.2時間、 小児の血中半減期は9.6時間です。本剤は、米、英など主要国では使用されていない日本のローカルドラッグです。その背景には、こうした報告があるのかも しれません。
当モニターで、錐体外路症状と考えられる報告は、振戦1件(80歳代)、手指筋肉のけいれん1件、首の硬直1件(小児)があります。抗ドパミン作用に基 づく報告は、乳房痛1件、月経異常1件があるだけです。これらは盲点になって見逃されているかもしれません。幅広い年齢層に長期投与される可能性のある薬 剤です。とくに小児や高齢者の長期服用では、嚥下困難など錐体外路症状の有無などを切り口に、症状の観察や質問をする必要がありそうです。
(民医連新聞 第1460号 2009年9月21日)
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