副作用モニター情報〈313〉 セイブル(R)錠(ミグリトール)による低血糖・消化器症状
セイブルは、わが国で3番目に承認された食後過血糖改善剤です。本剤は臨床試験の段階でも、他のα-グルコシダーゼ阻害剤に比べ、下痢、腹部膨満が多く見られました。市販直後調査でも同様の傾向が認められたほか、重篤な低血糖が起き(他の糖尿病薬と併用)血糖値が30mg/dl以下になった例が2件と、腸管閉塞が1件報告されています。
2008年度の当副作用モニターにも、低血糖の疑い1件、下痢6件、腹部膨満、胃部不快、吐き気が各1件、報告されました。そのうち、低血糖の疑いと、下痢の症例について紹介します。
【症例1】80代女性。HbA1c:7.5。オイグルコン2.5mg錠併用。ベスタミオン0.3mg錠(ベイスン)からセイブル50mg錠に変更し、1回目の服用で冷や汗、悪寒が生じ、低血糖を疑いブドウ糖を服用。翌朝、症状は回復した。それ以後ベスタミオン錠に戻した。
【症例2】70代女性。午前7時にセイブル50mg錠を初回服用した。8時ごろから下痢が3回あり、18時にも水様便があったため、夕食直前分の服用を中止した。その後は回復した。
下痢については、今回報告のあった6件中5件が服用後1日以内に発現し、中止後は速やかに回復しています。また、副作用の発現は用量依存的で、報告例の 多くが70歳以上でした。高齢者には1回25mgの低用量から開始するなど、慎重な投与と経過観察が必要です。
なお、本剤は昨年12月からインシュリン製剤との併用が認められました。併用時の国内臨床試験では2型糖尿病で血糖値60mg/dl以下の低血糖が 35.5%に発現し、1型糖尿病では86%というデータもあります。
本剤は半量が小腸上部から吸収され、血糖抑制効果が食後約1時間でピークになるなど、他の同効薬と違う動態を示します。低血糖が発現したら直ちにブドウ 糖を服用するよう患者に徹底し、その用意を確認することが必要です。
(民医連新聞 第1455号 2009年7月6日)
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