副作用モニター情報〈295〉 ガバペン(R)(抗てんかん薬)の副作用
ガバペン(R)(一般名 ガバペチン)は2006年9月に発売された抗てんかん薬です。外国では1993年から、91カ国で発売されています。
2008年度上四半期までに、5症例9件の報告がありました。内訳は、めまい・ねむけ・会話障害の精神神経系が3件、排尿障害、血糖低下、皮膚の水泡、倦怠感、だるさ、嘔吐が各1件です。このうち排尿障害は添付文書に未記載の副作用です。内容は、以前からあった排尿障害が、ガバペン(R)を服用した日の 翌朝、尿閉に近い状態となったというものです。この患者は、抗コリン作用のある薬剤を多剤服用しており、ガバペン(R)の服用によって抗コリン作用が増強 したか、もしくはそれらの薬剤の排泄が遅延した可能性もあります。臨床試験で発現の多かった眼に関する副作用は報告がありませんでした。
ガバペン(R)の作用機序は不明です。既存の抗てんかん薬の作用部位であるGABA受容体やナトリウムチャンネルにも結合せず、一般の抗てんかん薬とは 異なる作用機序を持つとされています。そのため、他の抗てんかん薬との併用で相加・相乗作用が得られるとされています。
適応外ですが、神経因性疼痛の緩 和を目的としても使用されているようです(米国では帯状疱疹後神経痛の適応あり)。
この薬剤は、体内に入ってから代謝を受けずほぼ100%尿中に排泄されます。そのため、腎機能障害のある患者、高齢者では、血中濃度が上昇し、体内に蓄 積され、副作用が発現しやすいと考えられます(重度の腎障害では、最高血中濃度が約1.5倍、AUCが約14倍、半減期約8倍延長)。
承認時データでは傾眠が33.5%、浮動性めまいが15.9%で発現していました。また、動物実験では、水晶体組織に滞留する傾向が認められました。臨 床でも複視、視覚異常など、眼に関する有害な副作用の発現率は高く、海外の長期試験では17.3%におよぶと報告されています。服用中は長期にわたる経過 観察が必要です。
(民医連新聞 第1436号 2008年9月15日)
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