副作用モニター情報〈284〉 塩酸チクロピジンの副作用と患者管理の継続について
2007年度第2四半期に、塩酸チクロピジンによる副作用報告が14件寄せられています。そのうち、肝機能障害が2件、血液障害が2件(重篤な血液障害が1件)でした。
海外では、重篤な副作用で多数の人が死亡しているため、現在ほとんど使用されていません。しかし、日本では異例ともいえる2度の緊急安全性情報が出されたにもかかわらず、現在でも多くの患者に処方されています。
製薬メーカーによると、重篤な副作用の約90%が、投薬開始後2カ月以内に発症し、この間に2週間に1度の血球算定と肝機能検査を行えば、副作用の重篤化を防ぐことが可能であるとしています。しかし、2カ月以降も重篤な副作用は発症しています。(顆粒球減少症で13.0%・肝機能障害で10.8% ※各症例に対する割合)
最近増えている薬剤溶出ステントは、塩酸チクロピジンと併用することで承認されました。従来のベアメタルステントでの併用は、2週間でしたが、薬剤溶出ステントでは長期間(Cypherステントでは3カ月、TAXUSステントでは6カ月)服用することが推奨されているため、塩酸チクロピジンの副作用発生リスクが増加する恐れがあります。このような経皮的冠動脈形成術(PCI)施行後における塩酸チクロピジンの投与については、2カ月以降も定期的な検査を 実施しながら慎重に投与すべきです。
患者には、塩酸チクロピジンの効果と副作用について正確に伝えたうえで、服薬の継続や定期的な検査の必要性を理解してもらうことが大切です。また、転院 による検査漏れで副作用が重篤化した例が報告されています。
今日、医療連携による複数の医療機関での患者管理が増加しているため、充分な情報提供が医療機関相互に実施されることや、患者からの聴き取りを強めるこ とが求められています。継続した管理を工夫して、重篤な副作用を未然に防げるようにいま一度、見直しましょう。
(民医連新聞 第1423号 2008年3月3日)
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