副作用モニター情報〈241〉 イトリゾール(抗真菌剤)とハルシオン(睡眠導入剤)の相互作用による認知症状の憎悪
イトリゾールとハルシオンの併用で、一過性にもうろう状態を呈した症例が報告されました。
(症例)肺疾患でイトリゾール200mg/日を長期内服している70代男性。軽度認知症はあるが日常生活に支障はなく、妻と2人暮らし。夫に不眠症状、夜間徘徊行動がみられたため、介護者の妻が他院で処方された自分の服用薬、ハルシオン0.25mgを飲ませた。翌朝から認知症状が憎悪、尿失禁がみられ、自立歩行できなくなり寝たきり状態となる。症状は2日間継続したがその後急速に回復、歩行、排泄とも自立し、会話も正常に戻った。以後、症状の憎悪・再発 はない。CTを撮影したが新たな梗塞はなく、両剤の相互作用による可能性が強く疑われた。
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臨床試験では、イトリゾール服用中のハルシン0.25mg内服併用では、単独投与時と比べハルシオンのAUCが27倍、最高血中濃度は3倍、消失半減期 は7倍になることが認められています。また、被験者のほとんどで、健忘と翌日までの錯乱等の症状が認められています。イトリゾールは消失半減期が約30時 間と長く、肝臓への蓄積性も高い薬剤です。他剤との相互作用は服薬中止後も約3週間持続することが示唆されています。そのため、パルス療法時の休薬期間中も、ハルシオンなどの禁忌薬は服薬しないよう、注意が必要です。また再発防止のため、患者様の併用薬が禁忌薬であるか否かを点検することはもちろん、併用 禁忌医薬品名はじめ、具体的な情報を患者様やご家族に確実に提供する事が必要です。
〈イトリゾールと併用禁忌薬剤〉オーラップ、硫酸キニジン、ハルシオン、リポバス、カフェルゴット、ジヒデルゴット、レビトラ、アセナリン、リサモール等。
(民医連新聞 第1375号 2006年3月6日)
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