副作用モニター情報〈223〉 注射用抗生剤の再投与でアレルギー症状を呈した事例より
今回、再投与によりアレルギー反応を呈した事例があったので報告します。
(症例)80代男性、胆管炎の疑いで入院しスルペラゾン1gを1日2回投与開始。開始時のテストは陰性であった。16日目CRP改善にて投与終了。
スルペラゾン投与終了から5日後、再び熱発・CRP上昇にて、皮内テストは行わずスルペラゾン投与再開。投与開始1時間後、大腿部・前胸部・頚部・上腕部 に紅斑出現、ネオファーゲン注・ポララミン注の投与で、1時間後に紅斑・発赤は消失。
今回の症例は、1回目の投与で感作され、次の投与直後にアレルギー症状が現れたと考えられます。皮疹のみで重篤には至りませんでしたが、アレルギー症状が 全身症状として表れた場合、アナフィラキー様症状等の重篤な症状を呈することも考えられます。
感作が成立するには一般的に5日間程度必要とされます。抗生剤では、3日間以上時間をあけて再投与する場合は安全とは保障されないとされています。(「ア レルギーの臨床25(2)2005」)また、週1回あるいは月1~2回の間歇投与の場合は、むしろ感作を引き起こしやすいといわれています。(「薬剤によ る副作用と中毒 43ページ」)
注射用抗生剤投与の際の基本的注意事項として、投与後の慎重な観察、迅速なアレルギー症状への対応が求められています。前に同薬でアレルギー症状を呈しな かった症例であっても、再投与によりアレルギー症状を呈することがあることも念頭におき、初回投与と同様の観察・対応が求められます。
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