副作用モニター情報〈222〉 パキシルによる中枢神経への影響に注意
パキシルはSSRI(selective serotonin reuptake inhibitor)製剤の中で繁用されている製剤です。うつ病・うつ状態だけでなく、唯一のパニック障害の適応もある薬剤です。
体内におけるセロトニン作用の増強に関連する副作用リスクについてあらためて注意を喚起します。全日本民医連の副作用モニターでも31件が報告されてい ます。そのほとんどは、吐気・むかつきなどの消化器系への影響と眠気などの中枢神経症状です。うつ病での国内治験の副作用では、吐気は12~20%、傾眠 は13~24%となっています。
今回、60歳代男性でパキシルを20mgから40mgへ増量してミオクローヌスが発現した事例が報告されました。全日本民医連の副作用報告でも震せんが これまで2例報告され、セロトニン症候群の関連が疑われます。
さらに、2004年8月の添付文書改訂で18歳未満の患者への投与禁忌が記載され、自殺念慮や自殺企図を含む情動不安定がプラセボの2倍となることが報 告されました。さらに2005年2月に英国医師会BMJ誌では、成人についても注意を喚起しました。
パキシルは、増加するうつ病、うつ状態への治療手段として今後も繁用されると思われますが、治療と背中あわせに上記の副作用リスクが存在します。効果とリスクについてのモニター強化を再度呼びかけたいと思います。
(民医連新聞 第1355号 2005年5月2日)
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