副作用モニター情報〈199〉 抗生物質による急性腎不全
ミドシン注射液(リン酸クリンダマイシン)による急性腎不全疑い例1件の報告がありました。
75歳の女性に、肺炎治療のため600㎎/日を投与。投与開始直後からBUN、クレアチニン値の上昇がみられ、 4日目には血清カリウム値7.0と高値を示しました。ただちに投与を中止し、ラシックスで利尿を確保、翌日までカリウム値の上昇が見られましたが、その後 速やかに腎機能は回復しています。
リンコマイシン系の本薬は、抗生物質の中では腎毒性の低いものとして知られています。しかしメーカーには死亡例 を含む急性腎不全疑い例6例が報告されており、ハイリスク患者に対しては、腎障害への注意が必要です。本例も脳梗塞後遺症と糖尿病の既往があることに加 え、投与前のBUNもやや高値を示していました。
薬剤性腎障害では「中毒性(非アレルギー性)」が最も多く見られ、そのうち抗生物質による腎毒性の典型的な臨床 症状は急性腎不全です。抗生物質による腎障害を防ぐためには、脱水症状に陥らないようにして、また十分な利尿を心がけること、大量投与を避け、投与量の調節で最小有効濃度を維持すること。またカリウムなど電解質のモニタリングや尿検査によって、腎障害の徴候を見逃さないなどの注意が必要です。
(民医連新聞 第1329号 2004年4月5日)
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