副作用モニター情報〈171〉 フェニルプロパノールアミン(以下PPA)と脳出血
2000年11月米国FDA(食品医薬品企画庁)は、“PPAと出血性脳卒中のリスク:出血性脳卒中調査プロジェクト最終報告(以下HSP論文)”を受けてPPAを含有する医薬品の米国内における自主的な販売中止を製薬企業に要請しました。
一方、厚生省は「脳出血の発生は日本では承認されていない食欲抑制薬として高用量使用した場合で、日本で承認されている適応用量(一〇〇mg/日)での 使用であれば、直ちに使用を中止する必要はない」と見解をだし、対応としてPPA含有医薬品の使用上注意の改訂(高血圧、脳出血既往患者等を禁忌に)及び 注意喚起を行うにとどめました。
しかし、HSP論文では、日本でのPPA承認使用用量である100mg/日以下の服用にて、出血性脳卒中を発症している症例も含まれており、PPAが脳出血発症リスクを増加させることを示唆しています。
全日本民医連においても使用目的の病気の程度から考えてPPAを服用する事の危険性は許容できないとの論議から、PPA含有医薬品の取り扱いを中止する院所が増加してきています。
元来PPAはエフェドリン骨格を持つ交感神経刺激薬であり、鼻粘膜などの血管収縮作用・血圧上昇・気管支拡張作用を有します。日本においては、上気道 炎・鼻炎・感冒治療薬市販薬として含有医薬品が多数販売されています(表参照)。
民医連副作用モニターでは、尿閉などの脳出血以外の副作用も多く報告されている薬剤であり、安易な市販薬での使用に注意を呼びかけるとともに、ダンリッ チRの使用においても抗ヒスタミン薬などの代替薬の検討や適応患者の選定を慎重に行う事が必要です。
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