副作用モニター情報〈166〉 クラリスロマイシンの黒舌症について
この間、クラリスロマイシン投与時に舌が黒くなる黒舌症の副作用が散見されています。黒舌症は、黒褐色の色素を産生するバシラス属やカンジダなど、口腔内 常在菌の異常増殖による菌交代現象です。特にクラリスロマイシンは、他抗生剤に比べ唾液中への移行率が高く、出現しやすいです。
症例では、舌の糸状乳頭が増生し、舌に毛が生えたように見える舌毛が黒変した黒毛舌も報告されています。発症は幼児から高齢者と幅広く、投与開始から 3~22日で発現、中止後5~28日で回復あるいは軽快となっています。唾液中に移行した薬剤自身の味と考えられる苦みを訴える例もありました。
予防は、口腔内の清潔を第一に、やわらかい歯ブラシで舌を軽くこする、うがい薬の使用、などです。また、副作用発生時は、薬剤の中止、ビタミンB群(特にニコチン酸)の投与、口腔ケア、禁煙が考えられます。
副作用は、命には関わりませんが、患者のコンプライアンス(服薬順守)を低下させる可能性があります。発現時には、原因の説明と対処法(口腔ケア)の指導を十分行うことが重要です。
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