副作用モニター情報〈164〉 漢方薬による薬剤性間質性肺炎について(99年度下期まとめ添付文書なしより)
99年度下期添付文書なし副作用166件のなかで、重症になったものとして柴胡桂枝湯による間質性肺炎があります。症例では3年4カ月後に労作時の呼吸困難が現れ、レントゲンにて肺病変が認められました。中止後はパルス療法施行し、回復しています。
間質性肺炎を引き起こす機序としては、まだ不明な点が多くありますが、薬剤の細胞毒性によるものと、アレルギー反応によるものが考えられています。前者 には抗癌剤、免疫抑制剤があり、細胞に直接障害を起こし、間質の炎症、繊維化を起こすと考えられています。また、アレルギー反応によるものは、薬剤もしく はその代謝物が免疫細胞を刺激することで起こるとされています。薬剤には抗生物質、抗不整脈、漢方薬が挙げられます。
間質性肺炎をおこす漢方薬では、小柴胡湯のほかに柴朴湯、柴苓湯が知られており、DLST(薬剤リンパ球刺激試験)から原因生薬として報告されているの は、オウゴンと半夏です。今回の症例の柴胡桂枝湯にも、これらの二つの生薬が両方とも含まれています。
薬剤性間質性肺炎をおこす因子として、肺病変がある患者、高齢者等が挙げられており、呼吸困難(特に労作時)、乾性咳嗽等の症状には注意が必要です。
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