副作用モニター情報〈633〉 ハロペリドール注射液の条件付き指示によりくり返される副作用と過量投与
ハロペリドールは第1世代(定型)抗精神病薬で、第2世代(非定型)よりもドパミン遮断作用が強いため、錐体外路系の副作用が発現しやすい薬剤です。今回、ハロペリドール注射液による薬剤性パーキンソン症候群が報告されましたので紹介します。
症例)
認知症のある開腹腸閉塞(へいそく)解除術後の80代女性の不穏に対し、ハロペリドール注射液5mg(1A)を生理食塩液20mlとともに静注。
投与6日目ごろに振戦が発現、その後1回目の投与から数えて7日目、20日目、40日目にも同様に合計4回投与し、2回目以降はすべて振戦、仮面様顔貌、動作制限、発語不良、と複数の症状が発現した。指示は、3回目までが事前に出された不穏時指示によるもの、4回目はその日の当直医によるもの。副作用の症状は、2回目以降は発現から6~10日間ほど継続した。
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ハロペリドール注射液は安価であり、入院時にせん妄など不穏時の条件付き指示とされることも多く、病棟にも常備され、容易に手が届く薬剤です。一方で連用により錐体外路症状や過鎮静を起こしやすく、特に高齢者などには注意が必要です。前述のような副作用が一定期間続けば、患者のQOLを大きく低下させることにもつながります。患者になるべく負担を与えないためにも、場合によっては2.5mg(0.5A)を点滴静注や筋注とするなど、投与量や投与速度をよく検討しましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1825号 2025年3月17日号)
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