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民医連新聞

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こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (15)野菜価格高騰の背景には

 スーパーではキャベツが1玉400円台(平年の3・4倍)、レタスが1kgあたり993円(同2・4倍)、白菜269円(同2・0倍)など、野菜価格が高騰しています。愛知県の野菜農家は言います。「暑さや乾燥で収量は取れません。肥料、農薬、資材、種代が上がり、苦労しています。何らかの補償がなければ続けられません」
 近年、異常気象や自然災害が頻発し、これが農作物の生産に大きな影響を与えています。特に野菜は気温や降水量に影響を受けやすく、これらの異常気象によって収穫量が安定しないことが、価格高騰の原因の一つとなっています。
 さらに、燃料価格の上昇や物流業界の人手不足も、野菜価格を左右します。野菜は生鮮食品であるため、迅速に市場に届ける必要があり、輸送費の増加はそのまま卸売価格に転嫁されます。また、国内の主要産地から遠隔地へと輸送する場合、コストはさらに高くなります。特に、冬季には寒冷地からの輸送が難しくなり、これも価格の高騰を引き起こす要因となります。
 近年では高齢化と農家の減少によって、生産地は生産者の規模拡大がすすみました。例えば白菜農家の場合、かつては2~3ヘクタールで大規模とされていましたが、今は20ヘクタール規模の経営も珍しくありません。そうした大規模農家をささえている労働者の多くは外国人です。かつては中国人が多く、その後、ベトナム人、今はインドネシア人が増えています。生産者減少の背景には、長年の自民党政治による輸入促進策と農業切りすてという「亡国の農政」があります。1961年に旧農業基本法が制定されて以降、国内の生産量を維持、増産するよりも、安い農産物を輸入する政策を国がすすめてきました。食料を世界支配の道具に使うアメリカの食料戦略に屈服した結果です。野菜などの耕種農業は化学肥料・農薬・石油依存にさせられました。種子・肥料・農薬・飼料・農業資材・機械・燃油のすべてが高騰し、そのほとんどを輸入に頼り、入手困難。特に肥料は99%が輸入依存です。
 農産物は天候の影響を大きく受けます。肥料代・燃油代など種々の経費も上がっているなかで、安心して生産できるように農家への所得補償が求められます。輸入依存の農政を改めるとともに、化学肥料や農薬に頼らない有機農業へシフトしていくことも必要です。


かつまた まさし
農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。 

(民医連新聞 第1824号 2025年3月3日号)

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