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民医連新聞

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私がここにいるワケ 生活スタイルに合わせ 前向きな笑顔をつくる支援 兵庫・神戸協同病院 理学療法士 野﨑 萌里さん

 民医連で働く多職種のみなさんにその思いを聞くシリーズ、第14回目は、理学療法士の野崎萌里(もえり)さん(兵庫・神戸協同病院)です。(長野典右記者)

 入職4年目の野崎さんは中学時代、800メートル走で神戸市内で4位に入賞するなど中長距離の陸上競技選手でした。中学時代に初めて、ある柔道整復師に施術を受けました。その後高校に進学し、スポーツ医学の授業の講師で再会。体の痛みの緩和や筋肉の名前を知ることで、人の身体は面白いと興味がわきました。疲労骨折でリハビリを受け理学療法士という仕事に出会い、身体に携わる仕事をめざしたいと思いました。そこで、リハビリテーション学部のある大学に進学しました。
 4年生の実習時はちょうど新型コロナ感染症が拡大しているなかで、実習は1カ月半が3週間に短縮。「同時期、実習にいけない悔しさを感じた学生は多くいたはず」とふり返ります。

■地域の健康づくりに

 同院には、大学にあった募集広告がきっかけで就職しました。最初は病棟に3年間配属。地域の班会や健康教室に参加し、体を動かすことも指導してきました。
 阪神・淡路大震災後に生まれ、病院のある長田区の状況など、当時の様子は、患者や利用者から聞きました。
 震災から30年が経過し、経験した職員は11%になりました。しかしその経験や教訓は、能登半島地震をはじめとする全国支援に生かされています。「災害時、民医連の全国支援の連帯感は、やはりすごい」と語ります。

■生活環境を見る

 現在は訪問リハビリとして、20人の利用者を受け持ち、1日6人ほど訪問しています。
 訪問先に行くと、まず目が行くのは、利用者の生活環境。玄関の入り口に段差はないか、階段や風呂、トイレには手すりがついているのか、手すりは両サイドにあるのかなど。
 利用者の年齢や生活のスタイルに合わせて、理学療法士として、どのようにかかわっていくのかを考えます。
 屋外歩行の時は、当日の天候や気温、血圧なども考えながら、必要な休憩も取ります。「退院して自宅にもどり、ネガティブな気持ちをどのように前向きにさせていくのか。そこがリハビリの要」と野崎さん。
 また関節の筋肉をほぐす、ROMエクササイズも行います。入院時から担当していた70代の利用者が「近所の大型スーパーに行けるまで回復した」との話も聞き、喜びを感じています。

■距離感と会話

 利用者との距離感や会話する時の目線にも常に気を配ります。また、コミュニケーションを深めるためには、呼びかけが大切。そして笑いが必要です。「笑いは健康寿命を伸ばします。笑うことで気持ちの背中を押して、少しでもポジティブになれば」と。
 「介護報酬の範囲内で時間の制限もあり、できることは限られています。もっと利用者のために、制度が改善されれば」と言います。人手不足のなか、現場の職員は奮闘していますが、やはり医療・介護従事者の処遇改善は欠かせません。税金の集め方と使い方が問われています。社会保障をよくするには、いのちと健康をささえていける体制が必要です。

■自分も元気であること

 7年前からはじめたスノーボードですが、コロナ禍を経て、先日、久しぶりに行ってきました。
 走ることにもチャレンジしたいと言います。「自分が元気でないと他人も元気にできないので、やはり自らの健康づくり」と。
 お世話になった柔道整復師はお寺の檀家だけでなく、高齢者や子育て中のお母さんが赤ちゃんに行う体のケアまで、幅ひろい世代にも講師をしています。活動の幅をひろげていると聞き、「幅ひろく地域の健康づくりのためのチャレンジしていきたい」と笑顔で語りました。

(民医連新聞 第1823号 2025年2月17日号)

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