第2回評議員会方針(案)のポイント 全日本民医連事務局長・岸本啓介さんに聞く 平和で公正な社会実現に向け討議と実践を
2月15~16日、全日本民医連は第46期第2回評議員会を行います。評議員会方針(案)のポイントを全日本民医連事務局長・岸本啓介さんに聞きました。(長野典右記者)
第46期総会(昨年2月)から1年が経過しました。民医連は総会運動方針を具体化し、オール地域の運動、能登半島地震被災地の復旧・復興に向けたとりくみを行ってきました。昨年12月、日本原水爆被害者団体協議会(以下、日本被団協)がノーベル平和賞を受賞し、核兵器廃絶に向けた課題が、大きく前進しました。
■改憲発議困難に追い込む
第1章は、激動する情勢として、世界と日本、平和と人権で起きた3つの変化をとりあげています。韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳発令に野党議員や市民が毅然(きぜん)と行動。現職大統領を弾劾する歴史的な出来事でした。国内では、安保3文書に基づく防衛費の増額、2040年に向けて医療提供体制の改悪をすすめています。方針案では詳しく記述していますので、理解をすすめてください。
昨年10月の解散総選挙の結果、自民党・公明党の連立与党は過半数を大きく割り込みました。また改憲勢力を合わせても発議に必要な3分の2に届かなくなり、改憲の動きを停滞させました。
能登半島地震から1年、豪雨災害から3カ月が経過しました。被災地では、いまだ手つかずの道路や、断水が続いている地域があります。石川民医連の仲間は、全国と連帯し、いのちと健康を守り抜くために、被災者に寄り添った真の復旧・復興を求めて、現状把握や要請行動にとりくんでいます。
■ 「たたかう経営」 の真価発揮を
第2章は、全職員の力で、事業所の経営危機を乗り切るための提起を行いました。日本の医療機関・介護事業所が、重大な経営危機になっています。2024年の医療機関の倒産、廃業、休業や、介護・福祉事業所の倒産件数がともに過去最多です。特に訪問介護事業所で、基本報酬の引き下げが倒産を加速させ、人手不足も深刻化しています。訪問介護の基本報酬引き下げの撤回など、介護保険制度の立て直しを、地域から力を合わせてとりくみましょう。オール地域のたたかいの方針に結集し、「たたかう経営」の真価を発揮しましょう。
経営危機の打開には2025年度の予算編成が当面の重点です。全職員参加の経営の強みを発揮するため、必要利益を共通認識にし、経営改善の展望を指し示す経営幹部の役割を強調しています。また、経営構造転換に向け、共同組織をはじめとする地域との結びつきの強化や、多岐にわたる課題に包括的な戦略を持ちましょう。
■地域から力の結集
第3章は、46期総会運動方針実践の到達点と今後のとりくみについてのべています。ジェンダー平等・ケアの視点で「非戦・人権・くらし」を高く掲げて、平和で公正な社会の実現に向け、医学生対策の前進を含め、5つの重点課題を指摘しています。県連、法人、事業所に引き寄せて討議を深め、意思統一をお願いします。
■未来への期待は希望で開かれる
通常国会が始まりました。高額療養費制度の自己負担上限額の引き上げについて、全国がん患者連合会は、長期にわたって継続、治療している患者とその家族に大きな影響を与えると訴えた要望書を厚労大臣あてに提出しています。社会保障を守るために、予算修正を求める運動につなげていきましょう。
今年の参議院議員選挙に向け、選挙要求を作成し学習に活用することで、選挙要求が自分事になるような運動を提起していきます。
おわりにではノーベル平和賞授賞式で質問に答えた日本被団協代表委員の田中熙巳(てるみ)さんの「未来への期待は希望によって開かれていく」という言葉を紹介しました。
次回の岩手総会に向けて、いのちが大切にされる社会の実現は可能だとの確信をもって、地域の人びと、共同組織、日本中の医療・介護従事者とスクラムを組んで前進していきましょう。
(民医連新聞 第1822号 2025年2月3日号)
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