副作用モニター情報〈630〉 ビスホスホネート製剤の長期投与について
今回は、ビスホスホネート(以下、BP)の高用量製剤を長期に服用したことで起きた副作用が2例報告されましたので、紹介します。
症例1)90代後半 女性
ミノドロン酸錠50mgを整形外科から処方され、4年8カ月服用していた。歯の痛みを訴えて歯科受診したが、歯の根が残って腫れており、抜歯できず。大学病院紹介となり、顎骨壊死(えし)と診断される。
症例2)80代後半 女性
骨密度低下のため、イバンドロン酸ナトリウム水和物錠100mg服用開始。4年2カ月後、自宅で転倒、大腿骨骨幹部を骨折。まっすぐ折れていたため、イバンドロン酸ナトリウム錠の副作用の疑いありとなる。
* * *
BP製剤は破骨細胞の働きを阻害して、骨吸収を抑制することで骨量は増加しますが、骨形成促進作用は持たないため、骨の正常な新陳代謝は阻害されます。
BP製剤による顎骨壊死は既知の副作用ですが、顎の痛みや腫れの初期症状に注意し、口腔(こうくう)内の定期的な管理を行うことが肝要です。
骨折には、転倒などの強い衝撃で生じる「定型骨折」と、外部からの衝撃がないのに生じる「非定型骨折」の2つがあります。骨の新陳代謝を抑えることで古い骨が残り続け、それが小さなヒビをもたらしもろくなり、骨折を引き起こすのが非定型骨折です。今回、転倒はしていますが、ポキッとまっすぐな折れ方と、大腿骨骨幹部(大腿骨の真ん中)という骨折部位から非定型骨折(BP製剤による骨折)と判断されました。骨粗しょう症による定型骨折は股関節の付け根が折れやすく、明らかに違いがあります。
骨粗しょう症治療薬は、基本的に漫然と長期にわたって処方され続けることが多い薬ですが、3~5年をめどに服用の継続か中止を検討することも重要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1822号 2025年2月3日号)
- 記事関連ワード
- 副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)