診察室から 地域から元気もらった県知事選
私は、兵庫県尼崎市にある尼崎医療生協病院で勤務しています。今の病院に着任して30年になりました。昨年9月に兵庫県知事選挙に立候補する予定と記者会見した日から、生活は大きく変わりました。県政の勉強を始めましたが、知らないことばかりでした。休日や平日の夜には、地域の団体の集会へあいさつに行きました。県知事選挙告示後、県内のほとんどの地域を訪問しました。兵庫県の広さを実感するとともに、地域で先頭に立って運動を行っているみなさんから元気をもらいました。
外来診療は選挙告示前日まで行い、その後は休診としました。外来診療中に何人かの患者から思いを聞かせてもらいました。「先生が知事になったらいい兵庫県政になると思う。でも、当選したら私の主治医や治療はどうなるんかと思うと、複雑な気持ちになる。もやもやする」。確かにそうです。突然主治医がいなくなるのですから。2025年7月に行われる選挙が、2024年11月に行われたのもあるでしょう。私から休診のお話をできなかった患者もいました。何人もの患者やご家族が、悪天候でも街頭での私の訴えを聞きに来てくれました。終了後に握手をさせてもらった時は、涙が出そうになったのを覚えています。全国の仲間からのさまざまな応援が心のささえになりました。
選挙が終わり、また日常が戻ってきました。「大変やったね。よくがんばってくれました。お疲れさま。結果は残念やけど、帰ってきてくれたとホッとしてるんや」。ほとんどの患者は、笑顔でこのように言ってくれます。ちょっと恥ずかしく、でもうれしい気持ちになりました。民医連綱領の旗を掲げて、と思って行ってきた私の仕事が、地域で支持されていると実感できた一瞬でした。
新しい知事が選ばれましたが、県政はいまだに混乱が続いています。阪神・淡路大震災から30年。私たちが選挙で掲げた政策を実現し、憲法が輝く県政となるよう、これからも運動を続けていきたいと思います。(大澤芳清、兵庫・尼崎医療生協病院)
(民医連新聞 第1822号 2025年2月3日号)
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