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民医連新聞

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こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (14)開発が進むゲノム編集食品

 「ゲノム」は、生物が持っているDNAとそこに記録されている遺伝情報を指すものです。ゲノム編集とは、この遺伝情報をつかさどっている特定のDNAの場所をねらい、酵素などを用いて切断して機能を失わせたり(ノックアウト)、切ったところに別の遺伝子を入れたり(ノックイン)する「遺伝子操作技術」のことを指します。
 これに対して、遺伝子組み換えは、生物の遺伝子に別の生物の遺伝子を入れる技術です。
 現在、急ピッチですすめられているゲノム編集技術。現在6品目・品種が消費者庁に届け出され、4品目・品種が市場に出回っています。
 ゲノム編集トマトは「シシリアンルージュ・ハイギャバ」として2021年9月に販売が開始されました。ベンチャー企業、サナテックシード社が開発したもので、高GABA(ギャバ)で血圧を下げ、リラックス効果があるなどとされます。
 同年10月には、肉厚のマダイの販売が始まり、受精卵の段階で、筋肉細胞の成長を抑える働きがある「ミオスタチン」の遺伝子の一部をゲノム編集技術で壊します。成長すると、通常のマダイに比べて身の量が約1・2倍になります。
 さらに同年11月には成長が速いトラフグが販売開始になりました。食欲を抑える遺伝子「レプチン」を働かないように操作。満腹感がなくなり、よく食べるようになり、成長速度が約2倍に上がりました。飼育期間の短縮やえさの削減につながるとされています。
 昨年4月には成長の速いヒラメの販売が始まっています。トラフグと同様に、ゲノム編集技術によってレプチン受容体遺伝子を欠損させたものです。
 市場には出ていませんが、届け出が完了しているものとして、トウモロコシ、ジャガイモもあります。
 トウモロコシは「ワキシーコーン」と呼ばれ、加熱するともちもちとした食感が出るのが特徴。ゲノム編集技術で、でんぷんの形成にかかわる遺伝子を切断することで成分の構成を変え、収量の増加も見込めるようになったといいます。粉末状のコーンスターチにして、食品の増粘剤などに使うとされています。ジャガイモは、食中毒の原因となる天然毒素を大幅に減らしたものです。
 ほかにも魚類、植物、昆虫などで開発が盛んに行われています。


かつまた まさし
農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。

(民医連新聞 第1822号 2025年2月3日号)

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