長洲事件 若者の未来ひらく判決を 最高裁に上告受理署名4万8000筆提出
昨年12月18日、長洲(ながす)事件の最高裁上告受理を求めて、2回目の要請行動を行い、熊本から担当弁護士、県連職員、全日本民医連と東京民医連も支援参加しました。
弁護士は「生活保護世帯で世帯分離をして、働きながら大学などに通学している学生はたくさんいる。学生は生活費・学費を自ら稼がなければならないので、アルバイト収入は親や祖父母の収入に算定されることはない。ところが今回の事案では、自立しようと働きながら学び、准看護師の資格を取得して(さらに進学コースへすすんだ)給料が出たからと収入算定して世帯分離を解除し、祖父母の保護を廃止。このような行政対応は初めて」と指摘しました。原告勝訴とした熊本地裁が「長期的・俯瞰(ふかん)的な視点からすれば、2017(平成29)年2月の世帯分離解除の時点において、世帯分離を継続することが孫および原告夫婦の経済的な自立に資する状況にあったことは明らか」としたのは当然とのべました。
最高裁判決が先例となるので、2度とこのような対応がないような判断を、と訴えました。
署名は合計で、4万8087筆が集まり、最高裁書記官に手渡しました。(全日本民医連職員育成部 野口昭彦)
【長洲事件とは】
祖父母(原告ら)の生活保護利用に際し、世帯分離で保護対象外とされた孫が、准看護師として働きながら正看護課程に進学したのを機に、年金と孫の収入で生活させようとした行政が世帯分離を解除し、生活保護を廃止。原告は保護廃止処分の取り消しを求めて提訴し、2022年10月3日、熊本地裁は世帯分離の解除は違法と、保護廃止処分を取り消しました(原告勝訴)。しかし昨年3月22日、福岡高裁は一審判決を取り消し、原告の請求を棄却しました。
(民医連新聞 第1821号 2025年1月20日号)
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