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民医連新聞

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フォーカス 私たちの実践 C型肝炎ウイルス陽性者、検査後の追跡調査 岐阜・みどり病院 387人を調査し未治療患者を見つける慢患委員会消化器グループの活動 肝臓グループとも連携 フォローアップへ

 C型肝炎は、C型肝炎ウイルスによる感染で引き起こされる肝臓疾患で、日本で慢性肝炎の原因の70%を占めています。近年、C型肝炎治療は抗ウイルス法が進捗(しんちょく)し、抗ウイルス薬でのウイルス排除率は95%以上で、慢性肝炎、肝硬変、肝がんの患者の60%がC型肝炎ウイルス感染者と言われています。岐阜・みどり病院の慢患委員会消化器グループでは、治療適応患者を検査で取りこぼしていないか、適応者がいた場合、治療につなげることができないかと考えました。全日本民医連第16回学術・運動交流集会で、森美穂さん(看護師)が報告しました。

 当院では、今回、過去にHCV抗体検査で陽性判定を受けた後、結果説明やフォローアップがされていない患者を洗い出しました。
 対象者は過去10年間のHCV抗体検査陽性者387人(106人の死亡者を含む)とし、電子カルテで調査を行いました。
 検査後の医師記録を確認し、C型肝炎ウイルスについて結果説明や治療提案などの記載があるかどうかを確認しました。

■対象患者に説明

 対象平均年齢は80・6歳、治療へとつながった患者のうちインターフェロン治療は23人、Direct Acting Antivirals治療は21人で、結果が読み取れなかった患者は29人でした。
 その29人から85歳以上の高齢者、施設入所者、抗体価が低力価で偽陽性の可能性が考えられた患者を除外し、フォローアップが必要と判断した患者は1人でした。
 この患者は、2017年に腹痛を主訴に受診しました。採血の結果、C型肝炎ウイルス抗体陽性であることを本人に説明していましたが、ウイルス量採血検査後の来院がなく、治療説明がされていませんでした。
 そのため、消化器グループ担当の医師が調査経過を電話にて説明し、治療について説明しましたが、経済的なことを理由に積極的な治療を望みませんでした。
 今回、387人を調査し、1人の未治療患者を探し出すことができました。
 働きかけの結果、治療にはつながりませんでしたが、対象になった患者に情報とウイルス除去の意義を話すことができました。
 結果説明の記録が読み取れないものは、入院時や内視鏡検査の前の感染症チェック採血に多くみられました。
 今後もひきつづきフォローアップしていきたいと思います。

■全職種がメンバー

 今回の調査で、HCV抗体検査を受けていましたが、適切に結果返しがされていない例があることがわかりました。治る病気となったC型肝炎。治療対象者が確認できたことは、調査を行った意義があったと考えます。
 今後は取りこぼしを発生させないように、HCV抗体陽性者への結果説明を確実に行っていくフォロー体制が重要と考えました。
 当院では、慢患グループ活動として、疾患ごとにグループをつくり、全職種がメンバーとなって月に1回の活動を行っています。
 以前活動していた肝臓グループ(肝胆膵)を、2024年5月から新たに立ち上げ、活動を開始しました。脂肪肝対策の活動をはじめ、HCV抗体陽性者については、異常値を医師へ報告しています。今後は、肝臓グループとして長期的なフォローアップが行えるような、連携体制を構築していく予定です。

(民医連新聞 第1821号 2025年1月20日号)

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