無差別攻撃続けるイスラエル 平和憲法を持つ国として即時停戦を呼び掛けるべき 京都・パレスチナを考えるあすかい病院職員有志の会 2025年新春
昨年11月23日、ガザでの停戦を訴える集会が京都市役所前で開催され、参加者は河原町通をデモ行進しました。京都民医連あすかい病院職員有志の会からも参加。有志の会のとりくみを取材しました。(長野典右記者)
「ストップ ストップ ジェノサイド」「爆撃やめろ 子どもを殺すな」と集会参加者は声をあげながら沿道にアピール。同院地域医療連携室の塚玲子さん(SW)は「STOP GENOCIDE FREE PALESTINE」のプラカードを持ってデモに参加しました。子どもを連れて参加した、まちづくりセンターの中川伸子さん(事務)は「日常のなかでできる意志を示していくことが大事」と語ります。現在、有志の会会員は9人。
2023年10月7日、パレスチナ・ガザでイスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃を「口実」にしたイスラエルによるガザへの大規模な空爆、砲撃は、病院も標的にしました。同じ医療従事者として何かできないかと有志の会を結成しました。
パレスチナでの体験
呼びかけ人の一人の塚さんは、ホロコースト(第2次世界大戦中にナチスドイツによって起こされたユダヤ人大虐殺)への関心がきっかけでパレスチナ問題を知りました。ドイツやポーランドを訪問し、ユダヤ博物館やアウシュビッツ強制収容所では、ナチスドイツの非人道性となぜこのようなことが起こったのかを考えました。
2019年9月、パレスチナのヨルダン川西岸地区を訪れた時、「首巻きをして歩いていると、突然大きな銃を持ったイスラエル兵に、『ムスリム(イスラム教徒)か!』と大声で呼び止められた」と恐怖の経験を語ります。イスラエル兵や入植者はパレスチナ人に日常的に暴力をくり返し、パレスチナ人の土地を収奪していました。「イスラエルが民主主義国家と言われるが本当か。なぜイスラエルの横暴が野放しにされているのか」と疑問を持っていました。
戦時下のガザ
そこに今回の戦争。今、パレスチナで起きていることを職員に知らせる学習会を、2023年11月27日に開催しました。テーマは「ガザとは何か」。講師に招いたパレスチナ出身の女性が訴え、35人が参加し、職員の関心の高さがうかがえました。この女性は京都大学大学院で免疫学を学んだ卒業生で、父親と夫は医師であることから、戦時下ガザの医療状況に焦点をあてた報告をしました。
イスラエルによる医療従事者、医療施設、救急隊への攻撃など、ガザでの残虐行為はナチスと比べても危険だと指摘。医局の藤吾真澄さん(事務)は「ひと月で200人以上のパレスチナ人医師が殺害され、医療資源が枯渇し、麻酔なしで手術が行われていることに驚いた。自分が働いている病院への攻撃と考えるとぞっとする」と語ります。
世界と日本の温度差
往診センターの土屋華奈子さん(事務)は「マクドナルドやスターバックスコーヒーが、その売り上げでイスラエル兵を支援していることはあまり知られてない。世界では製品のボイコット運動まで発展しているのに」と日本との温度差を指摘します。土屋さんは、組みひもで編んだパレスチナに連帯するブレスレットをつくり、財政支援を呼びかけています。塚さんは「日本は平和憲法をもつ国として、率先して即時停戦のために力を尽くすべき」と語ります。
ガザを思い支援を
今後の運動について、「会員も増やし、多くの職員に関心を持ってもらい、パレスチナ問題に目を向け続けてほしい」と塚さん。また県連会長の中川洋寿さん(医師)は「私の恩師、猫塚義夫さん(勤医協札幌病院・医師/北海道パレスチナ医療奉仕団団長)は『生活の1%だけでもガザのことを思い、支援を』と呼びかけており、県連としてもともに活動を続ける」と語りました。
(民医連新聞 第1820号 2025年1月6日号)
- 記事関連ワード
- 平和