副作用モニター情報〈628〉 コルヒチン錠による下痢に注意
コルヒチン錠は主に痛風発作の緩解に使用される薬剤です。細かな薬理作用は明らかになっていない部分もありますが、炎症域への好中球の遊走などを抑制し、炎症反応を抑制する薬剤です。
1964年に販売開始された歴史のある薬剤ですが、下痢などの胃腸障害が多い薬剤とされています。そのため、投与量や併用薬に注意が必要とされています。
症例)70代男性
既往歴は高尿酸血症、併用薬はフェブリク錠。3年前に痛風発作歴がある。10日前より右足親指痛風発作発症。
開始日(処方日):コルヒチン0.5mg6錠、ブルフェン200mg3錠、レバミピド100mg3錠を各1日3回5日分で処方。
開始3日後:下痢あり。市販の正露丸を内服し対応。コルヒチン含め、内服薬はすべて飲み切り。
開始7日後:フェブリク10mgを1錠1日1回で開始。
2カ月後:痛風発作再発。
再処方日:前回と同じ用法用量でコルヒチン、ブルフェン、レバミピドを7日間処方。前回同様下痢になったが、内服薬はすべて飲み切り。痛みは改善。
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本症例はコルヒチンが1日3mgと高用量で投与されており、下痢が起こりやすかったと考えられます。
コルヒチンの用法用量に関連する使用上の注意では、以下のように注意喚起されています。
「投与量の増加に伴い下痢等の胃腸障害の発現が増加するため、痛風発作の緩解には通常1日1.8mgまでの投与にとどめることが望ましい。」
コルヒチン添付文書には痛風発作緩解に対し、1日3~4mg使用できる記載となっています。実際は下痢などの消化器症状を予防するためにも低用量の投与が推奨されます。コルヒチンを痛風発作緩解に使用する場合は、1日1.8mg以下の投与量を検討しましょう。
高尿酸血症・痛風治療ガイドライン第3版でも同様の内容が注意喚起されています。また、CYP3A4やP糖たんぱくが代謝・排せつに関与するため、併用薬による相互作用の影響を受けやすい薬でもあります。コルヒチンを使用する場合は投与量と、併用薬の確認を忘れず行いましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1819号 2024年12月2日・16日合併号)
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