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民医連新聞

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「まめなかね?」 共同組織とともに結びなおしの訪問行動 島根 ひかわ医療生協

 島根・ひかわ医療生協は2022年から、共同組織拡大強化月間に合わせ、職員と支部運営委員がいっしょに組合員宅を訪ねています。地元の方言にちなみ「まめなか訪問」と呼ばれるとりくみに同行しました。(丸山いぶき記者)

 「まめなか」は、島根県出雲地方の方言で「お元気ですか」。出雲は茶の産地で、ちょっとした訪問者にも玄関先でお茶を出して、もてなす風習がある地域です。
 しかし、そんな日常もコロナ禍で一変。ひかわ医療生協でも活動を制限せざるを得ませんでした。出東(しゅっとう)支部理事の井上美和子さんは、「ひたひたと(落ち着いてじっくり)話す機会が減った」とふり返ります。
 そこで、組合員とのつながりを結びなおそうと、全6支部で「まめなか訪問」が始まりました。

弾む会話

 秋晴れの11月14日、宍道湖(しんじこ)の西にのどかな田園がひろがる出雲市出東地区。築地松(ついじまつ)という防風林に囲われた家々が散在する伝統的な景観をぬい、ひかわ医療生協の業務車両が走ります。斐川生協病院から車で10分。井上さんの案内で、成合(なりあい)真司さん(デイサービスきずな・介護福祉士)と渡部(わたべ)未香さん(地域活動部・事務)は、ある女性組合員宅を訪ねました。
 「迷わんかった? 昔ながらの家ですけど、どうぞ」。そう言って出迎えてくれたのは内田美代子さん。応接間に通され、さっそく会話が弾みます。「内田さんとは地域でいっしょに、ハンドベルや、子どもの居場所づくり活動もしてるんよ」と井上さん。ハンドベルは、近く医療生協の班会にする予定だといいます。

事業を知らせ

 機関紙の読者で、いくつか企画にも参加したことがある内田さんですが、持参した資料をもとに渡部さんがひかわ医療生協の事業活動を紹介すると、「へぇ~、そんなことも?」と感嘆。渡部さんは、フレイル予防にデイサービスの運動機器を使えるサービスや、有償ボランティア、外来患者向けの無料送迎も案内しました。
 幅ひろく展開する介護事業は、成合さんが説明。各事業所の特色を示し、「一人ひとりに合わせて利用できるように、医療も含め連携している」と語りました。
 近隣の高齢夫婦を心配し、「行政サービスも、市町村合併で行き届かなくなったよね」など、さまざまな地域課題も語られました。
 訪問行動は約1時間、内田さんも「今日はよかった。しゃべくられて(たくさん話せて)」と笑って見送ってくれました。

新たな担い手に

 終了後、訪問した3人は晴れやかな笑顔で「楽しかった」と口をそろえます。渡部さんは「比較的若い世代の方だったのが新鮮で、組合員だけどまだ知らない医療生協の活動を知ってもらえてよかった」とふり返りました。
 初めての「まめなか訪問」だった成合さんは、同じ出東地区在住で意外なつながりも。「現場では聞けない地域の話を聞けた。フレイル予防に関心があり、今後も発信していきたい。元気で自由に今を楽しんでいる内田さんのような人と、医療生協の活動ができるといい」と。井上さんも「仕事をリタイアしても地域で活躍したい人はいる。動けば、新しい担い手も発掘できる」と話します。

感じる手ごたえ

 以前からあった訪問活動に比べ「まめなか訪問は、知り合い(組合員)を職員に紹介するだけだから気楽。職場のことは職員がよく勉強していて、いつも感心する。いい仕事をもっとアピールして!」と井上さん。「医療生協にお世話になったから組合員になった」という人も多く、訪問が職員の自信につながっています。
 3年目のとりくみも中盤に入り、訪問件数はすでに昨年をしのぐ40件です。職員間にも定着してきており、11月末までに全23チーム、職種を問わず全職場から1人以上が参加する予定です。今年から「つながりシート」を使い、地域で聞いた要求を事業所へつなぐ仕組みにもチャレンジ。
 「今年は新入職員も、ドキドキしながらがんばっている」と渡部さん。「訪問でつかんだ要求を着実に事業活動に生かせている。フレイルが心配という声から、デイでの予防サービスが始まり、介護者が集う場所がほしいという声もあり、近く実現できたらいい」と、手ごたえを感じています。

(民医連新聞 第1819号 2024年12月2日・16日合併号)

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