相談室日誌 連載572 安心して生活できる親子に 相談支援専門員の役割考える(熊本)
地域で生活する人びとの支援を行う相談支援専門員になり、1年が経過しました。そのなかで多くの関係機関がかかわっている、Aさん親子と出会いました。Aさんは産後うつとなり、精神科への通院治療を開始。数年後には離婚、一人で子どもを育てながら生活しています。両親を頼ることが苦手なAさんは、一人での養育が難しくなってしまった過去や、精神的な症状の悪化もあり、児童相談所の介入のもと数年ほど親子が別に生活を送る時期もありました。
昨年、ヘルパーや訪問看護、複数の在宅支援で、「一人でがんばらずに」と支援者といっしょに話し合いを重ね、親子での生活が再開しました。子どもは、発達障害の特性があり、Aさんの負担を減らす目的で療育事業所も利用しています。しかしながら、Aさん自身のこだわり、精神的な体調の波が大きく日々変化しているなかで、自宅での支援を拒み、自宅でほとんどの時間を横になって過ごしています。ヘルパーは毎週来てくれるものの、部屋は足の踏み場がないほどになり、子どもへ「お手伝いとして」洗濯物を干す、茶わんを洗うなどをお願いしていますが、小学校低学年の子どもから「ちょっときついな」という言葉も時折あり、「ヤングケアラー」ではないかと感じることもあります。
子どもにはヘルパーや訪問看護に手伝いをお願いしても良いこと、「SOSを出してもいいんだよ」とメッセージを伝え続けています。しかし、「お母さんが嫌がるから」と、子どもも支援を拒否し、昼夜が逆転傾向となり、学校へ通う日も減って、母親や周囲に対し口調が強くなったり、自宅内での感情のコントロールが難しくなる場面を見かけるようになりました。
子どもが成長するなかでの親子のパワーバランスの変化、不登校、支援の拒否、親子間での孤立など、多くの課題を感じています。たくさんの支援者がかかわるなか、情報共有の難しさ、受け取り方の違いなどを感じることも多くあります。
親子が安心して過ごすことができるように、どうかかわっていくことが望む支援なのか、相談支援専門員の役割を考えながら、支援していきたいと思います。
(民医連新聞 第1818号 2024年11月18日号)