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民医連新聞

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これでばっちり ニュースな言葉 関西万博は中止! 地下に有害物質、建設費1.9倍

カジノに反対する大阪連絡会事務局次長
こたえる人 中山 直和さん

 大阪・関西万博2025は、来年4月13日~10月13日まで開催予定。しかし、会場建設現場でのメタンガスの爆発事故や会場建設費用の増加、カジノ誘致など、大阪維新の会が強引にすすめる開催のあり方が問われています。カジノに反対する大阪連絡会事務局次長、中山直和さんの解説です。

■1日2トンのメタンガス発生

 何度も会場の夢洲(ゆめしま)に上陸し、夢洲の現実を確認した者としての結論は「甘く見るな! 夢洲は危険」です。今年3月28日に発生したメタンガスの爆発は、予見した夢洲の危険性を証明しました。
 ガス爆発が発生した万博会場のグリーンワールド(夢洲1区)は、ごみ焼却灰・残滓(ざんし)・上下水汚泥などを埋めている現役の廃棄物最終処分場です。万博工事がはじまるまで1区の入り口に「汚染土壌処理施設」の看板があり、「カドミウム、六価クロム」などの有害物質で汚染され、立ち入り禁止の看板がありました。
 メタンガスは行政が年2回検査し、約80本のガス抜き管から毎日1~2トンも排出しています(表参照)。こんなところに入場者の半数が通るゲート、駐車場、屋外イベント広場、遠足の生徒が使う休憩所などが設置されるのです。また、パビリオンワールド(夢洲2区)でも、数カ所でメタンガスの発生が確認されています。
 大阪・関西万博の開催・運営を担う万博協会は、6月24日にメタンガス対策を発表し「安全宣言」を試みますが、メタンガスは制御不能、売店を火気厳禁にしても100%の安全をうたえず、「信じて来ていただいて、楽しんで」としか言えませんでした。そもそもこんなところを万博会場にすること自体があり得ません。

■地震で15万人3日間動けず

 万博協会が昨年末に発表した「防災基本計画」(初版)には各種災害の厳しい被害想定が書かれ、夢洲での万博開催の危険性を自ら証明しました。とりわけ決定的なのは南海トラフ地震・津波での「避難計画」がなく、9月2日にようやく「防災実施計画」が公表されますが、結局15万人が3日間も夢洲に閉じ込められ、非常食90万食を用意する計画になっています。夢洲の特性は大阪湾の人工島であり、アクセスルートが橋と海底トンネルしかなく、災害時には、どちらも使用不可になる想定です。メタンガス爆発とともにいのちの危険がある万博なのです。

■半年後開幕に次々と難題

 それ以外にも2025年万博には大問題があります。
 (1)会場建設費が1・9倍の2350億円に膨れ上がる。(2)運営費1160億円をチケットの売上で賄う計画だが、売れずに赤字が確実視、税金投入が懸念される。(3)海外パビリオンの建設が遅れ、開幕に間に合わない可能性がある。(4)橋とトンネルというアクセスルートの制約で来場車両の渋滞や都市機能がマヒする、など難題だらけです。
 さらに、今の焦点が子どもを万博に動員する「無料招待」です。吉村洋文大阪府知事が20億円の税金で「招待」を打ち出し、各学校に「行かない」との選択肢がないアンケートを実施し、学校現場や父母から不安・疑問の声があがっています。

■カジノのため夢洲に

 なぜ、こんな夢洲を万博会場に選んだのでしょうか。それは維新のカジノ誘致計画のためです。何もない夢洲のインフラ整備に巨額の税金を投入するのに、国家事業の万博を利用したのです。
 大阪府の万博計画にはもともと夢洲会場案はなかったのですが、2016年6月に松井一郎知事(当時)が突如、「夢洲試案」を出して強引に決定しました。日本維新の会の馬場伸幸代表も「(万博事業費は)税金の無駄遣いとは言えない。万博からIR(カジノ含む)というレールが敷かれていて、うまくいけば大阪・関西経済に大きなインパクトがある。そこには惜しみなくお金を出していく」(昨年9月28日)と露骨に語っています。
 人の不幸を踏み台にして儲けるカジノ、そのための万博とは、まったく動機が不純です。万博もカジノも中止しかありません。

(民医連新聞 第1817号 2024年11月4日号)

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