つながり 心折れそうな被災者の力に 奥能登地震被災地で地域訪問行動
元日の能登半島地震から10カ月、復旧・復興もすすまないなか、9月21日、奥能登地域に豪雨が襲い、石川民医連は水害復旧作業支援を緊急に呼びかけました。そして、現在の地域住民の健康状況の確認のために奥能登地域「秋の訪問行動」を行っています。現地からの呼びかけを石川民医連事務局次長の藤牧圭介さんに聞きました。(長野典右記者)
9月21日の豪雨は24時間で平年9月1カ月の2倍、観測史上最大の豪雨になりました。27河川が氾濫し、犠牲者は15人になりました。仮設住宅も浸水し、再び避難所に戻らざるを得ない状況になっています。
■地震と豪雨で二重の災害
もともと元日の大地震で地盤の緩みや川底に土砂が堆積し、護岸機能が低下しているなかでの豪雨でした。輪島診療所や輪島菜の花薬局の建物に被害はありませんでしたが、仮設住宅に入居している職員が戻れなくなり、3日間診療所に避難することになりました。
豪雨から1カ月以上が経過しましたが、400人以上が避難、用地不足で応急仮設住宅の建設が遅れています。現地の住民からは「地震よりひどい」「心が折れる」との声があり、大地震と豪雨という二重の災害を経験しました。
石川民医連と全日本民医連は、水害復旧作業支援を呼びかけ、9月23日~10月11日に全国からのべ313人が参加し、屋内外や車庫、床下の泥だし、汚損家財の搬出、災害ゴミの搬送などを行いました。飲食店の厨房(ちゅうぼう)や外の用水路の泥だし、ゴミの収集を行い、店主は「本当に助かった。あきらめていた厨房がきれいになり、再々営業に希望が見えた」と。支援者からは「営業を再開したら食べに来ますね」と伝えました。この模様は地元の民放テレビが放送しました。
■生活状況を把握
被災した住民は、このまま輪島で住み続けるのかどうか悩みながら生活を続けています。メンタルサポートや健康状態、患者の困りごとや生活状況を把握するために、石川民医連の要請にこたえ全日本民医連は奥能登地域「秋の訪問行動」を10月28日~11月29日まで、10クール、100人規模で行います。対象は、石川県健康友の会奥能登ブロックの会員と輪島診療所の患者で、自宅で生活する約1500人です。二重災害で、家族構成も春の状況とは変化している世帯もあります。今後も友の会会員として活動に参加してもらいたいとの思いから、地域と会や診療所とのつながりをあらためて「見える化」したいと思います。例えば困った時に相談する場所や相手はいるのか、今後の生活場所などを聞いてみたいと思います。
医療費・介護利用料の自己負担免除は12月末まで、3カ月の延長になりました。しかし、今回の水害で被災した人は対象から除外されています。石川県は被災した自治体から要望が上がっていないとして、積極的に国に要望する姿勢はありません。東日本大震災や熊本地震より遅れていると思います。今回の総選挙でも被災者に寄り添うと言いながら、投票所の縮小や時間短縮を行い、参政権さえ奪われています。
あまりにも遅い復旧の現場と二重災害による爪痕は大変深刻ですが、医療・介護の強みを生かして、心折れそうな被災者に少しでも力になれる訪問行動にしたいと思います。
(民医連新聞 第1817号 2024年11月4日号)
- 記事関連ワード