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民医連新聞

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副作用モニター情報〈626〉 SGLT2阻害剤による正常血糖ケトアシドーシス(eDKA)

 SGLT2阻害薬に1型糖尿病への適応が追加承認されて以降、高血糖ではないのにケトアシドーシスに至るeDKAの報告が増加しています。これはインスリンの中止、極端な糖質制限などが原因となっています。2022年「SGLT2阻害薬の適正使用に関する Recommendation」においても注意喚起されています。
 当モニター544号(2020年11月2日付)でも紹介しましたが、eDKAの報告が14件(SGLT2阻害剤10件、SGLT2+DPP4配合剤4件)集積されましたので、再度紹介します。

症例)60代女性で糖尿病。
 骨折して動けず発見され、脱水契機の高浸透圧高血糖症候群(血糖値600mg/㎗超)にて入院。補液+インスリン強化療法開始。
入院7日:糖毒性が解除され、インスリングラルギン8単位のみとなる
入院13日:フォシーガ錠10mg開始。血糖164mg/㎗
入院14日:インスリングラルギン終了
入院17日:この日は食事摂取ほぼできず
入院18日:嘔吐(おうと)、頻呼吸。pH7.02、HCO3は3mEq/L、血糖253mg/㎗、尿ケトン体(4+)。eDKA疑いでフォシーガ中止。炭酸水素ナトリウム静注、加糖リンゲル液と持続インスリン(18単位/日)開始
中止1日:嘔吐は改善するも食事できず
中止3日:アシドーシス改善も、尿中ケトン(2+)持続。糖負荷開始。持続インスリン52単位/日に増量
中止4日:食事2割摂取。尿中ケトン体(±)
中止5日:インスリン(44単位/日)に減量
中止7日:食思改善。尿中ケトン消失
中止9日:血糖も安定、持続インスリンをグラルギン8単位に戻す

* * *

 eDKAは高ケトン血症(血中総ケトン体≧3mmol/L)、アシドーシス(動脈血PH≨7.30、重炭酸塩 HCO3≨18mEq/L)で診断されます。嘔気(おうき)などのDKAの兆候を見逃さないこと、血糖が正常でもDKAを除外しないこと、通常のDKAと治療方法が異なることに注意が必要です。通常の処置に加えて、不足した糖質とインスリン、両方の追加投与が必要になります。(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1817号 2024年11月4日号)