こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (13)PFAS汚染の実態は
今、各地でPFAS(ピーファス)による汚染が深刻になっています。PFASとは1万種以上もの有機フッ素化合物の総称です。
水に溶けやすく分解されにくい特徴があります。さまざまな種類がありPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)、PFHxSなどが開発されています。1938年にアメリカのデュポン社が開発した滑りやすく分解しづらい「テフロン」がPFASの始まりです。
防水スプレーやフライパンのフッ素樹脂加工、ハンバーガーなどの包装紙、カーペットや衣類の防水防汚処理、化粧品やスマホのコーティング、消火剤やさまざまな工場の生産現場での研磨剤などにも使われています。
水に溶けやすいので、地下水や河川に溶けだし、水や土壌を汚染します。「永遠の化学物質」とも呼ばれるほど壊れにくいため、環境中に長くとどまります。汚染された土壌でできた農畜産物を食べ、水を飲むことで体内に蓄積します。
国際がん研究機関(IARC)は、PFOAを「ヒトへの発がん性がある」グループ1に、PFOSは「ヒトへの発がん性の可能性がある」グループ2Bに分類しています。また、子どもの免疫や出生時の体重に有害な影響を与えることも研究で指摘。潰瘍性大腸炎や脂質異常など他の疾病とも関連性が疑われています。
日本でも市民のグループや民医連のみなさん、大学教授の調査や研究で汚染が確認されています。大阪府摂津市での調査では、農地の汚染によると思われる野菜からも高濃度のPFASを検出。井戸水を飲んでいない人の血中からも高濃度のPFASが検出されたことで、野菜からの移行が疑われています。
農民連食品分析センターも全国の公共の水のPFAS汚染の検査を行い、今年3月までに54カ所の河川の水などを調査してきました。その結果、50カ所から検出があり、6カ所(秋田県大館市2カ所、東京都練馬区、神奈川県大和市2カ所、宮崎県新富町)で日本の水道水の暫定目標値を超えるPFASが検出されました。このなかには、米軍基地や産廃処理場が近隣にあるところもあります。
さらに、ファストフードのポテト、ハンバーガー、パイの包装紙からも、微量ですが検出、または検出の可能性があるものが出ています。海外では、食品からの摂取リスクを減らすために、日本以上に規制強化がすすんでいます(表)。
かつまた まさし
農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。
(民医連新聞 第1817号 2024年11月4日号)
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