第16回共同組織活動交流集会in岡山 地域の人びとと手をとりあって
共同組織活動交流集会では、2日間にわたり、全国のとりくみが報告されました。1日目の指定演題の概要と、2日目の分科会の一部を紹介します。
1日目の全体会では、指定演題として、4つの実践を紹介しました。
群馬中央医療生協の中島進さんは、高齢者の通院や買い物の足を確保するために、前橋市やバス会社などと連携して、交通手段を拡充・改善したとりくみを報告しました。
同生協は、市がバス会社に委託する循環路線「マイバス」に着目しました。前橋協立病院から北西(前橋駅方面)に向かうマイバスの路線の停車位置を増やしてもらい、同院や協立診療所、協立歯科クリニックの患者やお見舞いに来る人などに、登録制で生協が無料の乗車チケットを発行。チケットの利用実績に応じて、生協がバス会社に料金を払う事業を2022年10月から始めました。
また同生協は、病院の南東側の広瀬地域方面(公共住宅があり患者が多い)と、駅方面の両方でマイクロバスを運行していましたが、駅方面を廃止しました。そのかわりに、南東側の便と停車位置を増やすことで、同地域の住民の利便性を高めました。
さらに、大学教員や学生、バス会社と協力してのまちづくり座談会のほか、マイバス体験ツアー、バス乗務員対象のリハビリ職員による車いす利用者のサポート講習会などにも意欲的にとりくんでいます。
大阪の西淀川・淀川健康友の会の北山良三さんは、2023年の統一地方選挙の際に行った大阪市西淀川区の区民要求アンケートへの、公園が「草ぼうぼうで子どもが遊べない」「トイレがない、あっても汚くて使えない」などの声を受けてとりくんだ「公園ウオッチング」を報告しました。
区内25団体、のべ178人で、すべての公園について、車いすや手押し車で移動できるかどうか、時計、ブランコ、鉄棒、すべり台、砂場、休憩スペースの有無などを細かく点検しました。調査結果をまとめて、西淀川区連合町会長会議や公園の管理事務所と懇談したところ、「よく調査してくれた」と感謝の言葉が返ってきました。区にも要望を届け、住みよいまちづくりに向けた運動が前進し、北山さんは「みんなの確信になった」と話しました。
岡山・倉敷医療生協の中村富代さんは、同生協の児島ブロックで歯磨きや規則正しい生活習慣などのヘルスチャレンジを、すべての小中学校にひろげてきた実践を紹介しました。あいうべ体操で、感染症による学級閉鎖が減るなどの効果も報告されています。
生徒の個人情報の漏洩(ろうえい)などを懸念する声が出たことから、申し込みは人数を記入して提出してもらうなど簡素化し、賞状も廃止して参加賞を渡すなど工夫して、生徒と教員がいっしょになったとりくみとして親しまれています。
沖縄医療生協の西仲ゆかりさんは、ゴルフ場跡地(うるま市石川)の自衛隊訓練場建設計画を撤回させたとりくみを報告しました。
発端は昨年末、訓練場建設計画が突如、報道で明るみになったことです。戦時中の沖縄戦や、戦後から今日まで続く基地被害を背景に、怒りの世論が沸き起こり、地元自治会、市議会、県議会で全会一致の中止・断念を求める決議が次々とあがりました。3月20日に行われた建設反対の市民集会には1200人が参加しました。4月11日、防衛省は計画の取りやめを発表しました。
しかし同省は、代替地を「県内で探す」と表明しており、建設そのものをあきらめたわけではありません。「中国との戦争が始まれば沖縄本島全体がミサイル発射場になり、第三次世界大戦の犠牲に。この事実を全国の人びとに知ってもらいたい」と西仲さんは強調しました。
楽しく交流 分科会
第4分科会 第2会場
料理づくりや居場所づくり 多世代へも働きかけ
「通い(つどい)の場・居場所づくりの実践」をテーマに10本の報告がありました。
京都・吉祥院健康友の会は「孫にごはん・老後生活の自立」がきっかけの「いい加減な」男の料理教室10年の活動、福井県医療生協はさまざまな世代の居場所づくり、組合員ルーム「だん・だん」の活動について、カフェや食料支援を報告。京都東健康友の会左京ブロックおおはら支部は、藍染め、お茶会などの毎月の友の会サロンを行っています。埼玉・熊谷生協病院は多世代ふれあい食堂「HAPPYくまここ」、フードパントリー、弁当販売。公式LINEを立ち上げ、市内の全小学校での子ども食堂の開催も。大阪みなみ医療福祉生協河内長野支部はみんなの居場所「だんだん」をつくり、紙の保険証廃止反対署名活動、平和フェスタを実施。しが健康友の会は歴史のある町と、日本史講座を立ち上げました。岡山中央福祉会友の会はみんなの食堂を行いました。兵庫・宝塚医療生協は、若い世代にベジチェック(野菜摂取量の測定)、今後、おとな食堂にチャレンジします。
第5分科会 第2会場
フレイル予防、健康づくり 多彩な工夫を共有
「地域丸ごと健康づくりのとりくみ」をテーマに、11本の報告がありました。フレイル予防の体操やウオーキングなど、コロナ禍でも健康づくり、仲間づくりを諦めない各地の工夫が光りました。
新潟勤労者医療協会は、地域在宅高齢者のフレイル現状調査を行い、予防体操動画を配布。大阪・健康友の会みみはらでは昨年度、フレイル予防体操教室にのべ562人が参加しました。福島・郡山医療生協は太極拳教室、医療生協さいたま川越東支部は市考案の「いもっこ体操」を普及。香川医療生協組合員活動部はフレイルサポーター養成にとりくみました。
佐賀・大阪・福井など、地域の特色を生かしたウオーキング企画の報告も続きました。東京・城南保健生協は、知的好奇心をくすぐるまち歩きで男性参加者を増やしています。実際に歩いた距離で地図上をめぐる、ふくおか健康友の会の仮想ウオーキングラリーには、「真似したい」との声も。医療福祉生協おおさか加納地区は、自治会や住民といっしょに楽しむグラウンドゴルフ企画が、根付いていることを報告しました。
参加者の声
●分科会では、楽しく男の料理教室を行っているところが参考になりました。九条の碑を設置するので、地域から注目される活動を行っていきます。(大阪・奥野康雄さん、友の会会員)
●分科会では、フレイルチェックにデータ分析に、みなさんすごい。写真で楽しそうな様子も伝わってきました。私が勤める病院でも地域の活動に参加しています。職員と共同組織、互いを知ることで、活動のヒントも見えてくると感じました。(大阪・田村妙さん、看護師)
●動く分科会「朝日訴訟の歴史と人間裁判の碑」に参加しました。訴訟を通じて、不十分ながら生活保護が改善されたと学びました。朝日さんのいのちは、私たちの暮らしに、今も生きています。(鹿児島・大脇祥子さん、組合員)
●動く分科会「水島の公害と環境再生のまちづくり」に参加しました。子どものころ、岡山で暮らしていましたが、水島の公害のことはよく知りませんでした。基準値はクリアしていても、今も汚染が残っていることを知り、驚きました。国は公害をなかったことにしたいんだなと感じました。とても勉強になりました。(香川・公森明子さん、組合員)
(民医連新聞 第1816号 2024年10月21日号)