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民医連新聞

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私がここにいるワケ 共同組織と伴走したい健康・居場所づくりの拠点を 京都民医連洛北診療所 事務 岡本 麗弥さん

 民医連で働く多職種のみなさんに、その思いを聞くシリーズ13回目は、京都・信和会まちづくり運動部会議のメンバー、岡本麗弥(れみ)さん(京都民医連洛北診療所)です。(松本宣行記者)

■人見知りの転機は大学で

 岡本さんは、入職4年目の事務です。新卒で川端診療所に配属後、3年前に京都民医連洛北診療所に着任しました。子どものころは人見知りでしたが、大学で社会科学と憲法を学んでいるとき、転機が訪れました。指導教員が人権、平和主義、国民主権などについて、議論を重視していたことで、次第に自分の考えを、自分の言葉で話せるようになりました。

■民医連に引かれ

 岡本さんは、「民医連に入職したかった」と言います。福祉関係に関心があったことから、指導教員が京都民医連の職員に引き合わせてくれました。「病院・診療所で患者を治療するだけではなく、患者の生活背景を考えて、社会保障制度を改善しないと、本当の意味で患者を守れない」という説明を聞き、「私もこういうことがやりたい」と思いました。就職活動時に民医連綱領を読み、憲法97条を意識した綱領に共感。97条は自民党改憲案で、削除対象です。岡本さんは共感と同時に、改憲の動きに危機感を覚えました。

■共同のいとなみを体験

 今夏、岡本さんは会員訪問活動に参加。活動中に、職員だけでは解決が難しく、共同組織とともにとりくんだからこそ、解決できた事例を目撃しました。
 エレベーターのない団地を訪問したときです。4階に住む高齢夫妻の妻が、顔見知りの役員に「だれかに相談せなアカンと思っていた」と口を開いたのです。
 夫は入院中にADLが低下。階段昇降ができなくなっており、退院はできるのに、帰宅できない状況が続いていました。団地の1階の部屋に空きはありません。共同組織の役員が、府議会議員や行政に相談し、引っ越しできました。
 岡本さんは、「普段から地域で人間関係をつくっていた役員と、職員がペアで訪問したから、相談してくれたのでしょう」とふり返ります。
 小さな困りごとでも、地域とのつながりがないと、解決が難しいこともあります。「共同組織は、地域と事業所をつなげてくれる人たち」と、岡本さんは気づきました。

■地域の期待に応えるために

 岡本さんは共同組織とかかわりだしてから、職員はできるだけ共同組織の企画に参加してほしいと考えるようになりました。
 「多職種が参加してくれれば、共同組織の人たちも、安心して企画に参加してくれるでしょう。また、医療・介護の専門家のちょっとした助言があると、地域の人たちは事業所をもっと評価をしてくれるのではないでしょうか」。

■拡大強化月間に向けて

 同診療所の共同組織は、居場所づくりに力を入れています。ふらっと訪れることができて、健康づくりの拠点になる場所をつくれないかと模索していたところ、新たに「洛楽(らくらく)カフェ」(10月オープン予定)が誕生することになりました。診療所としても、新たな拠点を力に、共同組織拡大にとりくんでいきます。

■患者に寄り添う

 「私自身、共同組織について、まだまだわからないことがたくさんあります。民医連では『患者に寄り添う』とよく言われます。診療所の先輩たちをお手本に、『寄り添い』プラス、共同組織のみなさんと伴走できる職員になりたいです」と、目を輝かせながら、今後の抱負を語りました。

(民医連新聞 第1813号 2024年9月16日号)