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民医連新聞

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相談室日誌 連載567 いのちの危機にかかわる酷暑 公費支援など制度見直しを(群馬)

 60代のAさんは独居、年金生活の人です。今年の夏に入り、4回熱中症で救急搬送されました(うち2回は路上からの救急搬送)。4回もの救急搬送に至った理由は、自宅敷地内で車上生活をしていましたが、交通事故で車を動かすことができなくなり、車のエアコンが使えず、暑い車内で過ごした結果でした。
 Aさんは、若い頃は会社勤めもしていましたが、家族の逝去後、生活管理ができなくなり、自宅内から敷地外までゴミであふれていました。そのため漏電防止策として電気も止められていました。
 また、支援してもらえる親族もありません。地域包括支援センターや近隣の人が片づけの説得を行っていましたが、高額な費用がかかることから本人が納得せず、このような状況が長い期間続いていました。
 搬送の都度、入院を継続し、片づけをして電気を再開することや、介護保険申請の結果を待ってショートステイを利用することをすすめました。
 しかし、「自宅に帰る」と入院3回目まで1泊で帰ってしまいました。4回目の入院でようやくAさんは、暑い時期は施設で過ごすことを了承しました。
 Aさん以外にも、高齢・独居・エアコンがない、もしくは認知機能低下で使えない、かつ親族がおらず支援者がいない熱中症患者の救急搬送が複数続きました。
 幸い重症の人はいませんでしたが、入院前からの数年単位の生活課題がすぐには解決しないため、入院期間が長期化しています。
 熱中症の加療のみで退院となると、再度熱中症になり、再び救急搬送、もしくはいのちにかかわる状況が目に見えており、すぐに退院とはいかないのが現状です。
 エアコンの設置や使用ができる経済的な能力や判断能力、まわりの支援者の有無が、いのちの危機に直結するほど、気候変動(酷暑)の影響は深刻になっています。
 これから先のことを考えると、入院以外の緊急避難の施設を地域につくることや、エアコン設置に対する公費の助成制度など、メゾ・マクロレベルの制度見直しが必要と感じています。

(民医連新聞 第1813号 2024年9月2日号)