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民医連新聞

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健康格差に立ち向かう世界の実践に学ぼう 第30回国際HPHカンファレンスが11月、広島で開催

 今年11月6~8日、「健康の公正性を目指して~医療機関と介護事業所の貢献~」をメインテーマに、第30回国際HPHカンファレンスが広島・国際会議場で開かれます。初めての日本での開催。民医連職員や共同組織も参加する同企画の内容や魅力を、日本HPHネットワークCEOの近藤克則さんに聞きました。(多田重正記者)

―国際HPHカンファレンスとは。
 国際HPHネットワークが主催する学習と交流の場です。同ネットワークはヘルスプロモーション(健康増進)をすすめる医療機関、介護事業所、薬局などが加盟する組織です(1990年発足)。
 WHO(世界保健機関)は1986年のオタワ憲章、2005年のバンコク憲章で、ヘルスプロモーションを定義し、「人びとが自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」としました。国際カンファレンスでは、その実践を各国から持ち寄り、交流します。今回の国際カンファレンスは口演、ミニ口演、ポスターセッションで合計30カ国725演題が発表されます。全体会、パラレルセッションも行われ、世界の知見と実践を学べます。

「健康の公正性」めざすとりくみとは

―メインテーマに込めた意味は。
 世界では、所得や学歴、職業の階層などにより、健康に格差があることが2000年以前から調査、指摘されてきました。2010年の国際カンファレンス(イギリス・マンチェスター)でも「健康の不平等」がテーマになりました。
 当時、日本では健康格差の存在は公認されていませんでしたが、2013年に始まった第2次「健康日本21」(厚生労働省がすすめる健康づくり運動)でも、今年度開始の第3次でも「健康格差の縮小」が基本的方向として掲げられました。第3次では、「自然に健康になれる環境づくり」や、胎児期から高齢期までを視野に入れた「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」が加わりました。これらは、WHOが課題に掲げてきたSDH(健康の社会的決定要因)重視のヘルスプロモーションの方向に沿うものです。
 世界でも、コロナ禍で貧困層ほど死亡率が高いなど、健康格差が課題となっています。これらを踏まえて、日本HPHネットワークとして「健康の公正性」をテーマに提案し、採用されました。副題は、ヘルスプロモーションが行政だけでなく、医療機関や介護事業所も重要な担い手であることがわかりやすいようにつけました。

―健康の公正性をめざす医療機関や介護事業所のとりくみとは、どのようなことを想像すれば。
 わかりやすく言えば「誰一人として取り残さない」実践です。民医連職員も「これなら、自分たちのやってきたことだ」と思い当たるのではないでしょうか。
 誰一人として医療や介護を受けられない人をつくらない。民医連はお金がない人や、孤立して自分をネグレクトするような患者・利用者に「余計なおせっかい」と言われてもあきらめない。それを一言で表すと「健康の公正性」をめざすとりくみになると思います。

参加すれば普段の実践に自信が

―民医連職員にメッセージを。
 日本HPHネットワークの加盟事業所数は121で(8月2日現在)、これは世界第2位です。
 また日本は世界一の長寿国です。国民皆保険制度が理由にあげられますが、皆保険だけでは病気になる前の段階は説明がつきません。何が健康に貢献しているのか、証明するのは難しいのですが、間違いなく世界から注目されています。
 民医連について言えば、貧困層の多い地域、公害地域、災害被災地などで「安心してかかれる医療機関を」と住民が立ち上がって医療機関をつくった。これはまさにヘルスプロモーションです。しかも約1700の事業所がある。海外の人は驚きますよ。
 私も研究者になる前は民医連の医師でした。国際カンファレンスに参加し、自分たちがやってきたことが国際的なトレンドに沿ったものだと自信につながる経験をしました。そんな経験を民医連のみなさんにも味わってほしい。お待ちしています。

第30回のプログラム、参加登録は→

 

(民医連新聞 第1813号 2024年9月2日号)