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民医連新聞

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相談室日誌 連載566 退院後の生活に向けた伴走 孤独で多飲となった患者(宮城)

 50代前半のAさんとの出会いは数年前。リハビリと退院調整のため当院に転院し、支援が始まりました。入院前のAさんは、生活保護を利用し、精神障害者保健福祉手帳が交付されていましたが、障害サービスは利用せずにアパートで一人暮らし。親族との関係は希薄、他県の離別した夫と子どもとは、たまに連絡を取り合う程度です。
 前医では、長年のアルコール多飲と摂食不良に伴う栄養失調と診断。本人同意のもと救護施設の入所を申し込んでいましたが、転院後に心身機能が回復し、退院先の希望は自宅に。「アルコールのせいでこの体になった。飲むばかはいない」と涙ながらに語り、子どもへの思いや、他の母親と自身を比べて不安になり飲酒していたと話し、自責の念に駆られ、孤独な日々であったことがうかがえました。自宅退院をめざす方針となりましたが、障害支援区分の認定が退院期限までに間に合わず、生活保護でも一時的に実家への同居が認められ、いったん実家に退院しました。
 退院後も一人暮らし再開に向け支援を継続していましたが、予約日に受診せず、連絡が取れた時には、実家での生活やお金のことなどの困りごとを抱えて閉じこもり状態になっていることがわかりました。市の生活保護課ケースワーカーと実家を訪問し、支援の仕切り直しが必要と判断。廃用症候群に対するリハビリと環境調整を目的に入院を調整しました。入院後、グループホームへの入居を希望し、申し込み手続きを開始しましたが、コロナ禍の影響で、いったん自宅へ退院しました。
 退院後入居先が決まると、さまざまな手続きや行政の対応が負担となったのか、精神的に不安定になった本人からSWへたびたび連絡が入りました。そのつど傾聴し励ましながら、退院から程なくして無事入居となりました。本人からは「実家に閉じこもっていた時に電話をくれたから助かった」との言葉がありました。
 患者にとっては退院が新しい生活のスタートです。根気強く伴走しかかわり続けることで、Aさんらしく生活できる基盤を整えることができました。最終目標としている子どもとの同居に向け、日々自分自身とたたかいながら懸命に過ごしています。

(民医連新聞 第1812号 2024年8月19日号)