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民医連新聞

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憲法・平和を守るイチオシのとりくみ 全日本民医連が交流

 全日本民医連は7月3日、WEBで「憲法・平和守るイチオシのとりくみ交流会」を開催しました。署名・宣伝行動や、コンクール、若者や子どももいっしょに楽しむ企画など、さまざまな活動が。報告されたとりくみの概要を紹介します。(編集部)

待合室でも街頭でも管理者が率先して
奈良民医連 西岡知宏さん(事務)

 西岡さんは、憲法を守り抜くことを県連の最大の課題に位置づけた、奈良民医連のとりくみを報告しました。
 岡谷会は、定期的に病院や診療所の待合室などで、署名行動を実施しています。今年5月23日には、おかたに病院の待合室、リハビリ室、健診センターなどをまわって「憲法改悪を許さない全国署名」64筆を集めました。月に1度、JR奈良駅前でも署名行動を行い、5月29日の行動では職員7人、友の会会員3人が参加し、2筆を集めました。
 平和会も月に1度、近鉄大和西大寺駅前で、署名宣伝行動を実施。昨年10月31日の行動では、署名をした人に、ハロウィンにちなんでお菓子を配りました。12月22日の行動では、サンタクロースの帽子をかぶって宣伝。厳しい冷え込みのなか、33筆を集めました。
 健生会も毎月9日と25日に宣伝署名行動を実施。今年1月からは、曜日ごとに職場の担当を決め、土庫病院の待合室で、署名行動を行っています。
 「管理者、幹部が率先してとりくんでいくことを、それぞれの法人が大事にしている」と西岡さん。「署名を一つひとつ積み上げることが大事。集まる署名の数が少ないこともあるが、宣伝することにも意味がある」とのべ、継続的なとりくみの重要性を強調しました。

地域に出向いて署名ひろげる
新潟・みのり薬局 川上咲佳さん(事務)

 「新潟メディカルプランでは月1回、さまざまな社保学習、活動を行っている」と川上さん。「身近なところから考える憲法」をテーマにした弁護士のWEB講演、手づくりの「民医連かるた」を使った新年会、県連主催の憲法アピールコンテストなど、活動の数々を紹介した後、地域に出ての署名活動について報告しました。
 同法人では、待合室だけでは署名が伸び悩んだことから、地域に出ての署名行動を開始。コロナ禍で中断していましたが、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が第5類に移行したことを受けて、再び地域で署名を集めることにしました。
 住民宅を訪問するにあたり、事前に案内のチラシをポストに投函。チラシには、署名のお願いと職員が訪問する日時を記載しています。
 訪問先では、「庶民の生活が大変になっているのに、自民党の裏金問題は許せない。そのお金を被災地へ使った方が良い」「軍事費を増やし続け、このままいくと日本がアメリカ、中国に次ぐ世界で3番目になることを初めて知った」などの声が。住民の思いや、生活実態などに触れる機会にもなっています。川上さんは「これからも地域の人びとのつながりを深め、いのちと暮らしを守る拠点薬局としての役割を果たしていく」と語りました。

「なんでもあり」の芸術の秋コンクール
大阪民医連 庄司修さん(事務)

 庄司さんは大阪民医連の「憲法まもり隊」がとりくんだ、「芸術の秋コンクール2023」について報告しました。
 「憲法まもり隊」は、「憲法9条をまもりたい大阪医療介護ネットワーク」のニックネームで、2022年に誕生。「県連に改憲を許さない闘争本部を」と呼びかけた全日本民医連の提起に応えたものです。「私も参加していいですか」と名乗り出た看護師も現れ、中心メンバーの一人に。
 その後、学習会やとりくみを重ねましたが、運動に参加する人は限られ、署名も伸び悩み。そこで「自分の特技で参加できるとりくみを」と、2023年8~11月にコンクール(作品展)を実施。憲法にかかわることで、自分が芸術と思うものなら「なんでもあり」。作品に込めた思いも短文で添えてもらいました。参加賞は憲法9条、13条(個人の尊重)、25条(生存権)のTシャツです。
 募集を始めると、職員・共同組織だけでなく、家族、子どもからの応募も。普段、行動に参加しない人の応募もあり、紙工作、イラスト、書道、写真、川柳など、51点が寄せられました。事務局長賞に選ばれたのは「世界中に配達 憲法9条」の絵手紙です(上)。
 庄司さんは「署名や街頭に立つだけでなく、意見を求める、表現してもらう、製作する(してもらう)こと自体を運動化し、共有する大切さを感じた」と語りました。

成人式・卒業式で若者にアプローチ
宮城・松島医療生協 高橋啓介さん(事務)

 高橋さんは、松島医療生協が加盟する松島九条の会(以下、「会」)のとりくみを紹介しました。
 会は、2005年に「日本三景松島には平和が似合う」のかけ声のもと、結成されました。
 常にとりくんでいるのは「9の日署名」。月3回、9のつく日に町内を戸別訪問して行っている署名活動で、町内はほぼすべて回ったと言います。
 また、会では毎年、松島町成人式署名、松島高校卒業式行動を行っています。
 成人式署名は2007年から実施。成人式の会場前で、新成人と家族、来賓などに声をかけ、お祝いのメッセージを渡して署名を呼びかけています。「多くの人がさわやかに署名に応じてくれる」と高橋さん。訪問行動ではなかなか会えない若者にアプローチする機会になっています。
 松島高校卒業式行動は、2009年から継続。同校は松島町唯一の高校で、卒業式の日に校門前でお祝いと9条の大切さを訴えたメッセージを手渡しています。会には元教員も多く、高校の職員からも「お疲れさまです」と声をかけられます。高校生たちは初々しくお礼をのべて、メッセージを受け取ります。高橋さんは「若い人たちが家族や友人と9条について話してくれれば、との思いで続けている」と話しました。

学習を重ね平和を考えるきっかけに
富山・在宅福祉総合センターぽぷら 小河孝秀さん(社会福祉士)

 小河さんは、県連平和委員会の活動について報告。委員から「今後少なくなる戦争体験者の話を聞きたい」との声が出され、昨年12月14日には、組合員2人に戦争体験を聞く「平和をつなぐ会」を開催。平和な日常が奪われ、常に死と向き合わなければならない過去があったことを学びました。
 今年4月28日には、「楽しく親子でも参加でき、平和について考えることができるように」と、ピースウオークを初めて開催。若い職員に参加してもらおうと、労組とも相談して企画を練りました。
 富岩(ふがん)運河環水公園内のウオーキングコースを歩き、途中で平和に関するクイズを出題しました。模擬原爆(米軍が県内で行った原爆投下訓練で使用)のモニュメントも見学。「参加した子どもたちにも、普段は遊び場の公園に爆弾が落ちたという、戦争の恐ろしさが伝えられたのでは」と小河さん。参加者で模造紙などを使って、平和の祈りを込めた「木」も制作しました。
 6月4日には、富山県被爆者協議会会長を講師に招き、国民平和大行進に向けた学習会を開催。広島の原爆投下のパネルも展示。学習会後、パネルを熱心に見つめる参加者の姿がありました。
 委員会では、平和川柳を募集する予定。小河さんは「県連作成の憲法カルタとコラボして、日めくりカレンダーを作成し、各職場で平和を考えるきっかけにしていきたい」と語りました。


憲法を壊す動きを追いかけて声をあげよう
国会情勢報告から

 交流会では、参議院議員(日本共産党)の山添拓さんが憲法に関する国会情勢報告を行いました。

 山添さんは、第213回通常国会(6月23日閉会)の特徴について「憲法は変えられていないが、立法面で戦争国家づくりが着々とすすめられている」と。同国会では、防衛省設置法の改定(自衛隊に統合作戦司令部を設け、米軍と一体の行動を可能に)、次期戦闘機共同開発条約の締結、食料・農業・農村基本法の改定(有事の際、農家に芋づくりの強制などが可能に)などが強行されました。
 「とりわけ大きいのは、日米共同声明(4月10日)」と山添さん。声明は、軍事費のGDP2%への増額、敵基地攻撃能力の保有、「作戦および能力のシームレス(継ぎ目のない)な統合」などを掲げています。山添さんは声明に従えば、「日本は情報収集の衛星を持っていない」ため、米軍の情報をもとに共同作戦を行うことになる点や、日本が敵基地攻撃能力を使って相手国に先制攻撃をしかける危険を指摘しました。
 また、日米が情報収集↓計画立案↓目標の割り当て↓攻撃↓攻撃の成果を分析↓情報収集というサイクルで軍事協力を行うこととされています。ここでも米側の情報をもとに行動するため、米軍が終了と言うまで抜けられない武力行使のサイクルに、日本が組み込まれる危険があります。

戦闘機も共同開発

 続いて山添さんは次期戦闘機共同開発条約に言及。共同開発するイギリスやイタリアは、すでに第三国への販売を表明。日本も両国からの圧力を理由に、第三国への販売に道をひらく同条約を締結しました。他方、日本では「国際紛争の助長につながる」と武器の輸出を禁じてきました。同条約は、その「国是」を骨抜きにします。
 さらに日本が戦闘機を販売する国は防衛装備品・技術移転協定の締結国ですが、締結国は閣議だけで承認され、国会にははかられていません。しかし、過去にはイギリス、イタリアも加わり共同開発した戦闘機「ユーロファイター」がサウジアラビアに輸出され、2015年にイエメンの空爆で使われて、一般市民が犠牲に。今回、共同開発する戦闘機は、このユーロファイターの後継機。山添さんは、販売時に戦争当時国でなくても、販売後に国際法違反の武力行使に戦闘機が使われる危険などを首相と防衛大臣に問いただした国会質問を、映像で紹介しました。

改憲を阻んできた力

 最後に山添さんは、故安倍元首相が2020年の東京オリンピックまでに改憲を実現すると公言していたことに言及。しかし今も改憲を許していないのは「市民と野党の共同の力」と山添さん。「改憲を阻んできた力は、今も国会に影響力をもっている。改憲を押しとどめるために、憲法審査会や改憲の動きを注視するとともに、立憲主義を壊す動き一つひとつを追いかけ、声をあげることが必要」と強調しました。

(民医連新聞 第1812号 2024年8月19日号)