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民医連新聞

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副作用モニター情報〈621〉 ミニリンメルト®の低Na(ナトリウム)血症

 バソプレシンは脳の下垂体から分泌され、腎臓において尿を濃縮することで尿量を調節する抗利尿ホルモンです。ミニリンメルト®はバソプレシンと同じような働きを持ち、バソプレシン分泌不足によって起こる夜間頻尿を防ぎます(規格によって適応症が異なります)。
 今回はミニリンメルト®により低Na血症が起きた症例を紹介します。

症例)70代男性。体重57kg
 夜間頻尿に対して、ミニリンメルト®OD錠50μgを内服中。意識が遠のくような感覚があることや、飲酒後寝ようとしたが体調がすぐれず救急要請し入院となる。入院時の血清Na濃度は124mEq/L(正常値は135~145mEq/L)であり、低Na血症と診断された。第2病日目より本剤は中止、生理食塩液が投与開始となる。第7病日目には血清Na濃度は133mEq/Lとほぼ改善し、退院。

* * *

 低Na血症の症状は初期に見られるものとして倦怠(けんたい)感、頭痛、吐き気があり、重症化すると意識障害・けいれんなどが起こります。本症例のように薬剤が原因と考えられる場合は、被疑薬の中止や生理食塩液などを点滴することで血清Na濃度の補正を行います。ただし、急激な補正による浸透圧性脱髄症候群(ODS)のリスクが指摘されており、補正は緩徐に行います。また、補正の速度だけではなく、診断時の血清Na濃度が低いほどODSのリスクが高いとされています。
 本症例では、ミニリンメルト®により水分の体内貯留がおき、血清Na濃度が低くなったと考えられます。就寝前の飲酒が低Na血症を助長してしまった可能性もあり、低Na血症の発現や重症化をさけるため服用中は過剰な水分摂取に注意しましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1812号 2024年8月19日号)