運動方針の全面実践へ社会保障抑制の転換を 第46期第1回評議員会方針(案)のポイント 岸本啓介事務局長に聞く
全日本民医連は、8月24日に開く第1回評議員会の方針(案)を出しました。46回総会から半年。当面の重点について、全日本民医連の岸本啓介事務局長に聞きました。(丸山いぶき記者)
■きたる総選挙へ
先の通常国会は、異常さが際立ちました。戦時法制とも言える数々の法律が、まるで憲法と切り離されたかのような議論で、数の力で押し通され、立憲主義の枠を超えた暴挙がくり返されました。
しかし、こうした暴挙は現行憲法上、決して許されず、長くは続きません。私たちはこの間、憲法を守り生かすとりくみで、岸田政権の改憲を阻止してきました。優生保護法問題では、立ち上がった当事者の運動に応え、最高裁が憲法にもとづき国を断罪しました。
自治体首長選挙でも一人ひとりが声をあげ、民主主義の新しい発露を生み出しています。私たちの医療・介護現場でのたたかいが注目され、これほどメディアで紹介されたこともありません。
46回総会で3つのスローガンや「非戦」「ケアの視点」を掲げてきたことが力になっています。大いに自信を持ち、きたる総選挙をたたかいましょう。
■患者や利用者を守る
第1回評議員会方針(案)は、情勢、経営、運動の3章建て。前期からひきつづき、第1回は焦点を絞りました。46期運動方針の全面実践に向け、今の時期に大事なこととしてつかんでください。
国の社会保障抑制政策は、何としても転換させましょう。そのことが事業と経営を守り、一人ひとりの職員やケア労働者を守ることにつながります。目の前の患者・利用者のいのちと健康、くらしを守り、能登半島地震の被災者や沖縄県民を守ることにもなります。
第1章の情勢では、能登半島地震からの復旧・復興の遅れの深刻さと原発の問題、格差と貧困の拡大、大軍拡のための社会保障抑制政策、診療報酬・介護報酬改定、骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)2024の中身、沖縄辺野古新基地建設や米兵による少女暴行事件の隠蔽(いんぺい)などに言及しています。
■経営危機は乗り越えられる
第2章は経営課題。46回総会でも警鐘を鳴らし、改善の方向を探るとりくみをしてきましたが、いまだ好転の兆しは見えません。
2023年度決算(140医科法人合計)は、償却前経常利益率で予算比66・2%(コロナ補助金を除くと33・8%)と大幅な未達成。全体として資金流出構造が継続しています。2024年度第1四半期も、大半の法人が「必要利益」に届かない予算編成でありながら、その予算にも到達できない深刻な状況です。
しかし、あえて方針(案)に厳しい実態を記すのは、全職員、共同組織と認識を共有し、地域要求に応え、あわてず、県連や全日本民医連に結集すれば乗り越えられると伝えたいからです。積み上げてきた非営利・協同路線、46期運動方針をしっかり生かすことが重要です。
■オール地域でたたかおう
厳しい経営状況をつくり出しているのが、社会保障抑制政策です。第3章では、それを何としても転換させる、来年度予算の編成を見据えた秋のたたかいについて書きました。ここに、医師増員署名やナース・アクション、介護ウエーブを結集させましょう。
政策転換は、市民運動なしに実現できません。共同組織とも共通認識にして、診療報酬・介護報酬再改定をめざし、オール地域でやり抜きましょう。平和で核兵器のない世界、ビキニ被災者支援、原発ゼロ、沖縄をはじめ全国の基地強化阻止、被災者本位の能登半島の復旧・復興も、運動で実現を。
県連・法人・事業所での積極的な討議を期待します。第1回評議員会当日は、全国から実践や決意を持ち寄り、交流しましょう。
(民医連新聞 第1811号 2024年8月5日号)