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民医連新聞

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相談室日誌 連載563 人のいのちかかわる事例 SWとケアマネが厚労省交渉(和歌山)

 5月16日、和歌山から私とケアマネジャーと県連事務局長、県議・市議の5人で厚労省交渉を行いました。現場のSWとケアマネが本気で政府交渉を行ったのは初めてではないでしょうか。
 1つ目は、難病申請の決定に3カ月かかるため、医療費が償還払いとなり、高い薬代が払えず、治療を断念する患者がいます。暫定的決定で公費支給、調剤薬局に無料低額診療事業を認めること、和歌山市の国保44条の規定の見直しの訴え。2つ目は、ケアマネの法定研修のあり方と業務範囲の見直し、その費用負担の訴え。3つ目は生活保護制度で、エアコンの購入費用支給と自動車の日常使用を認めてほしいとの訴えです。3つとも自分がかかわっている事例です。厚労省側は係長までの若い官僚で、私たちの要望に耳を傾け、しっかりとメモをして聞いてくれました。
 この4月から厚労省は、ケアマネの業務範囲や法定研修についての見直し検討会を始めています。実は私の目の前に座った老健局認知症施策・地域介護推進課人材研修係長はその検討会メンバーでした。5月9日の第2回目の検討会では、現場の声も聞いたと話していました。「こんなに研修をしなくても現場のケアマネはがんばっている。病院の付添いや入院患者の衣服の用意、時間外の呼び出しなど本来業務以外にも。ケアマネを苦しめるだけの研修ならもうやめて~」と冗談交じりに言ったところ、場に笑いが起き、その担当者も微笑んでくれました。「今まで制度やルールを決めているのは国の偉い方々」というイメージしかありませんでしたが、「それは違う、生身の人間が決めているんだ」と実感を持ちました。そしてそのルールを決めている人が自分の前にいる、私たちの訴えでこの人の思いが変われば制度は変わる、そして政治も変わるのではと思えた瞬間でした。
 和歌山から移動に合計8時間、交渉が3時間、ゆっくりしたのは参議院議員会館の食堂で30分昼食をとった時だけでした。国会議事堂前で帰りの電車を待つ間、県議に「さすがに疲れましたね」と声をかけると「人のいのちがかかってるんやもん」とさらりと答えが返ってきました。制度の不都合を政治に訴える大変良い経験でした。

(民医連新聞 第1809号 2024年7月1日号)