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民医連新聞

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副作用モニター情報〈615〉 非糖尿病患者へのSGLT2阻害薬投与で無自覚低血糖

 SGLT2阻害薬は腎臓でのグルコース再吸収に関与するナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)を持続的、競合的、可逆的に阻害することで、グルコースとナトリウムの再吸収を同時に抑制し、尿中グルコース排泄および浸透圧利尿をもたらす薬剤です。2014年2型糖尿病に承認された後、心保護、腎保護効果が示され、糖尿病非合併の心不全患者、慢性腎臓病(CKD)患者にも多く使用されるようになってきました。
 ダパグリフロジンの臨床試験では、糖尿病治療を受けていない患者の安全性試験で低血糖3例/360例(うち2例はプラセボ群)が報告されており、糖尿病治療薬の併用がない場合、低血糖は起こりにくいとされています。
 今回、非糖尿病患者への投与で、自覚症状のない低血糖を発症した症例が報告されましたので、紹介します。

症例)70代女性 併用薬:ビソプロロールあり
 腎機能低下、心不全あり、ダパグリフロジン10㎎開始。糖尿病歴なし、治療薬なし。開始1年半後、採血したところ、血糖値55㎎/dlと低血糖状態(70㎎/dl以下)だった。自覚症状なし。腎機能が安定しているため、ダパグリフロジン中止となる。

* * *

 慢性心不全にSGLT2阻害薬を使用する場合、最大忍容量のβ遮断薬、ACE阻害薬(またはARB)およびMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮きっ抗こう薬)が導入されていることが推奨されています。今回の症例のように、β遮断薬は低血糖の初期症状をわかりにくくすることが知られており、自覚症状がないまま低血糖を発現し、意識消失することもあります。
 意識障害がない場合は早期に糖分摂取すること、意識障害がある場合にはブドウ糖静注またはグルカゴン点鼻粉末剤で対応します。患者自身が異変に気づけるような指導も重要です。特に運転をする人はこれらの危険性を十分理解し、空腹で運転しないよう工夫が必要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1806号 2024年5月20日号)

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