診察室から 山形の医師後継者対策について
山形民医連の医師医学生委員長になって約4年たちます。その間奨学生出身の初期研修医が県連に着地しなかったり、医学生担当職員が突然辞めたり、数年継続した奨学生が辞退したりと、がっかりしたことは少なくありません。
しかし、そうした問題を乗り越え全体を見渡すと、驚くほど好調が続いていることに気づきます。
かつて私が県連奨学生だった頃は、奨学生の人数は片手で数えてもまだ指が余るほどで、増えた時期もありましたが、ほとんどが途中で辞退し着地には至らない状況でした。しかしここ数年、奨学生の人数は10人以上を維持し、3年連続で奨学生出身の研修医が誕生しています。改善のためにやってきたことは、ひたすら良い方向への「微調整」です。学生との面談回数を増やす、話す機会があれば一歩踏み込んだ質問をする・メッセージを伝える、面談・実習内容が重複しないよう過去の資料に目を通す、学生の変化を県連内で共有する、医師・医学部だけでなく多職種職員・他学部学生とのかかわりを増やす。県連内でも「奨学生共育指針」「医師政策」など、後継者対策への共通意識の醸成をはかってきました。学習会や高校生対策のアクセスしやすさのため、パンフレットやチラシの改善も大切。今は初期研修、専門研修、それ以降も含めた研修体制の強化に県連としてとりくんでいます。
全国的には医学対活動を担う職員の負担や、やりがいの感じにくさが話題に上がります。負担については、人員確保や働き方改善にひきつづきとりくむ必要があります。日々感じるやりがいは学生の成長が一番ですが、話すなかで新しい知識を得られるのも大きな楽しみです。長期では国家試験合格、研修終了、県連着地など、良い知らせを県連内の職員に届けることです。ベテラン医師も「その知らせであと数年がんばれる気がする」と喜んでおり、こちらも希望を届けているような気になります。あと10年かけて、緩やかに世代交代できるよう、ひきつづき県連一丸となって精進します。(本間理、山形・本間病院)
(民医連新聞 第1806号 2024年5月20日号)