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民医連新聞

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副作用モニター情報〈614〉 ダプロデュスタットの副作用

 腎性貧血の治療は、注射剤の赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent:ESA)が主流でしたが、2019年にHIF-PH(低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素)阻害薬と呼ばれる新しい種類の内服薬が登場しました。HIF-PHの働きを阻害することによりHIFの分解を抑制し、エリスロポエチンの産生を増加させ貧血を改善します。内服薬なので使いやすく、7成分の製剤が発売されており、使用量も増えています。
 今回はそのひとつ、ダプロデュスタット製剤ダーブロック錠®の副作用症例を紹介します。当委員会には過去3例の報告がありました。

症例1)60代前半女性

 ダーブロック2mgで開始し、3カ月後に4mgへ増量。服用開始後7カ月で眼底出血していることが判明。網膜静脈閉塞と診断され、注射剤ダルベポエチンへ切り替えとなる。

症例2)80代前半女性

 ダーブロック2mg開始後1週間で発熱。中止後2日で解熱。

症例3)70代後半男性

 ワルファリン2mg服用中。ダーブロック2mg開始後63日でPT-INRが1.97→6.09へ上昇。ワルファリンをいったん中止。4日後にINR回復。

* * *

 添付文書には、消化器症状や皮膚症状のほかにも血管新生亢(こう)進(しん)作用による網膜出血や、脳梗塞・心筋梗塞などの血栓塞栓症の記載もあります。また、添付文書にはありませんが、症例3のようにワルファリンとの相互作用の可能性が推察されるようなケースもあります。
 腎性貧血治療の選択肢として大きく貢献しそうな製剤ではありますが、発売後まだ時間がたっておらず、他のHIF-PH阻害薬も含め、今後の副作用・相互作用の情報を注視していく必要があるでしょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1805号 2024年5月6日号)

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