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民医連新聞

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診察室から 患者の気持ちに寄り添い、患者に励まされ

 私は3人の子育てをしながら常勤で働く19年目になる眼科医です。平日は仕事、土日は子どもの習いごとの送迎や弁当づくりで、ゆっくりできる日はほとんどありませんが、理解のある上司や家事を分担してくれる夫、母にささえられながら、なんとか日々をこなしています。
 私の勤める病院の眼科には、さまざまな患者が受診します。「先生に会いたかったー」と、毎回診察室で言ってくれる90代の患者。1時間かけてはるばる遠方から受診する患者。「先生に会うと元気がもらえる!」と言ってくれる患者。なかには診察中に泣き出す人もいて、よくよく話を聞くと、前医では診察時に怒られて、自分の話したいことを何も話せなかったようで、「こんなに話を聞いてくれる先生は初めて」と言う患者もいました。
 私は診察室での患者との会話をとても大切にしていて、できるだけ話しやすい環境をつくり、より詳しい情報を得られるように心がけています。ただでさえ「見えない」「痛い」などの不安な気持ちで受診しているので、できるだけ患者の声に耳を傾け、気持ちを共有することに努めています。
 ただ、白内障のように手術をしたら見え方が著明に改善する病気もあれば、治療しても視力や視野が回復しない緑内障や網膜色素変性症などの病気の人もいます。「点眼しても変わらないし」と、やや悲観的になる緑内障の患者もいます。
 そんななか、網膜色素変性症で視野がかなり狭窄(きょうさく)している40代の患者は、一念発起して教員をめざし、2年間単身で県外の大学へ進学し、帰郷するたびに受診してくれます。不慣れな土地で、生活も勉強も大変ななかがんばっている姿をみて、私が元気をもらい、もっとがんばらなきゃと思わせてもらっています。
 40代も後半となり、老眼になり、体力の衰えも感じますが(笑)、困っている患者のため、地域の人びとのために、日々精進していこうと思います。(福留みのり、鹿児島生協病院)

(民医連新聞 第1805号 2024年5月6日号)