生活保護行政の改善を 群馬・桐生市で市民集会
4月5日、群馬県桐生市が生活保護申請者・利用者の保護を受ける権利を侵害してきた問題に関する市民集会が同市内で行われました。生活保護問題にとりくむ有識者、弁護士、生活困窮者を支援する団体・個人などでつくる桐生市生活保護違法事件全国調査団の主催。約200人が参加しました。
問題発覚は昨年秋。8月から生活保護を利用していた50代男性が保護費を1日1000円しか受け取っていませんでした。市は毎日ハローワークで求職活動を行うことを条件に支給。男性は8月に総額3万3000円、9月に3万8000円しか支給されず、決定額(月7万1460円)の半分程度。昨年11月21日、男性は記者会見し、「一方的に分割された」と訴えました。今年4月3日には別の60代男性とともに前橋地裁桐生支部に提訴。同様の分割支給は、記録が残る2018年以降、14件(市調査)でした。
市民集会では前半、午前中に行った対県・市要請や、食料支援活動などの結果を報告しました。対県・市要請では要望書で、2011~22年度の12年間で生活保護利用者が1163人から547人に半減したことや、うち母子世帯が26人から2人に激減したことの原因の検証などを求めました。
後半は提訴した50代男性の証言音声を紹介した後、シンポジウム。生活保護問題対策全国会議代表幹事で弁護士の尾藤廣喜さんが、過去に調査団で対応した北九州市(2006年、保護を打ち切られた男性が餓死)、小田原市(市職員着用のジャンパーに「保護なめんな」と表記されていることが2017年に発覚)などの例をふり返り、桐生市の問題解決のために実態の究明と問題の整理、第三者委員会が機能することなどの重要性を強調しました。
シンポジウムでは、父親にかわって生活保護申請に訪れた人が、本人の体調不良を訴えているにもかかわらず、家計簿をつけてくるように指導するなど、市の「水際作戦」の事例も報告されました。
反貧困ネットワークぐんまの町田茂さん(群馬民医連)も登壇。2010年度に約19億円あった生活保護費が2022年度には約9億円に減ったのは、市が「自己決定」「自己責任」「自己負担」の原則のもとに「扶助費を削減する」方針を掲げ、推進してきたからだ、と指摘。生活保護窓口にも警察官OBが配置され、生活保護利用者をどう喝したり、申請を辞退させていることを報告しました。
(民医連新聞 第1805号 2024年5月6日号)
- 記事関連ワード
- 貧困