憲法カフェ㊸ 個人情報が勝手に自衛隊に
「個人情報の漏洩(ろうえい)」といえば、コンピューターウイルスによってなされる場合や、個人情報を入れたUSBメモリをどこかに落としてしまう場合などが考えられますね。ところが、みなさんの暮らす市町村が何千人、何万人もの住所・氏名などを、特定の団体に無断で提供している事例もあるのです。
みなさんの住所や氏名など個人情報は、市町村ごとに住民基本台帳に電子登録されています。この台帳は、行政機関などが必要なときに閲覧できます。「閲覧」というのは、見たり読んだりすることで、コピーをしたり写真を撮ることではありません。
ところが昨今、市町村が自衛隊に対して自衛隊に就職する可能性のある年齢(15、18、22歳)の若者の個人情報を、本人の同意を得ることなく、コピーや宛名シールの形などで提供しているのです。その情報にもとづいて、自衛隊が若者の自宅を訪問することもあったようです。自治体が本人の意思に反して個人情報を自衛隊に提供することは「プライバシー権(憲法13条)の侵害」だと、多くの学者・法律家が批判しています。
福岡では、住民訴訟がたたかわれています。そのほか各地で不安が高まり、市民団体が名簿の提供を止めるよう自治体に申し入れるなど、とりくみがひろがっています。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1803号 2024年4月1日号)
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