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民医連新聞

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ともに生きる仲間として―非正規滞在の移民・難民たち 最終回 私たちはあきらめない ―移民・難民が希望をもって生きられる社会へ 文:大川 昭博

 「私は人間です。ロボットではありません。ロボットなら壊れたら捨てられるでしょ。でも人間は捨てられません」。
 2017年に入国したガーナ人のジョンソンさんは、病気で働けなくなり非正規滞在となりました。必要な治療も受けられず病状が悪化し、2019年に入院。医療費支払いのめどが立たないまま、医療ソーシャルワーカーや同国人コミュニティーの尽力で人工透析を開始します。2020年には、治療を目的とした特定活動資格を得ることにより、無保険の状態から脱することができました。
 しかし、就労は禁止されているため収入はなく、生活困窮に陥ったジョンソンさんは生活保護の申請をしましたが、「国内での活動が制限されている」ことを理由に却下されました。そこでジョンソンさんは、裁判を起こし、法廷でこう主張しました。
 「ガーナには透析ができる病院がほとんどありません。透析をしないと死んでしまいます。これからも生きたいです。そのために生活保護を認めてほしいです。いずれは仕事もしたいと思っています。就労ビザがもらえるなら、自分で働いて生活費を稼ぎます」。
 しかし、2024年1月16日に出た判決は、「外国人は、生活保護を受ける権利がないから、裁判を起こす権利もない」という冷酷無比なものでした。
 移民・難民の健康は常におびやかされています。その一方で、移民・難民の暮らしをささえる、心ある人たちがいます。みなさんもきっとそのなかのお一人です。
 最後に、判決後にジョンソンさんが語ったコメントで連載を締めくくります。お読みいただき、ありがとうございました。
 「障害のある外国人のためにもなる裁判です。もし私があきらめたらその人たちにもよくない。だから絶対にあきらめません。高裁でたたかいます。人生にはアップダウンがあります。ダウンしているときはあきらめてはいけない。希望を失ってしまえば、終わりです。希望をこれからももち続けます」。


 おおかわ あきひろ 移住者と連帯する全国ネットワーク理事。『外国人の医療・福祉・社会保障ハンドブック』(2019年、支援者との共著)

(民医連新聞 第1802号 2024年3月18日号)