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民医連新聞

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憲法カフェ㊷ 裁判官の「天下り」

 あなたが弁護士をつけて、ある企業を相手に裁判し、負けたとします。直後に弁護士がその企業の顧問に就任したら、どう思うでしょうか。「私の裁判ではわざと負けたのではないか」と疑ってしまうのは当然です。
 同じことが裁判官にも言えます。裁判の公平を実現する上で、裁判官の経歴は非常に重要です。
 ところが裁判官のなかには、退官した後、かつて自身が裁判で勝たせた大手企業やその関連団体に天下りしたり、それらの代理人を務める大手法律事務所に弁護士として再就職する人がいます。たとえば、福島原発事故での国家賠償訴訟で国を勝たせた裁判官が、東京電力の代理人を務める法律事務所に再就職した例があります。
 最近では、東京地方裁判所で行政事件を一手に担当する「行政部」の裁判長が、行政事件で国側の代理人になる「法務省訟務局」のトップに就任するという極めてアンフェアな人事もありました。ある事件の裁判長が、次の裁判期日で国側の代理人になったようなものです。これらは、いずれも国民の司法への信頼を貶(おとし)める出来事です。
 憲法31条で保障される適正な手続きとしての公正な裁判を実現するには、私たち市民がこういった不公正な人事を看過せず、その問題点を追及し、声をあげることが大切です。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1800号 2024年2月19日号)