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民医連新聞

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これでばっちり ニュースな言葉 パレスチナ・ガザのいま 停戦を求めて行動を こたえる人 日本国際ボランティアセンターパレスチナ事業現地調整員 大澤みずほさん

 昨年10月7日、パレスチナ・ガザ地区とイスラエルで始まった戦闘は、いまだに終息が見えず犠牲者は増え続けています。現地ではいま何が起きているのか、日本国際ボランティアセンター(JVC)のパレスチナ事業現地調整員、大澤みずほさんの解説です。

■地獄のような状況

 ガザ側からの越境攻撃に対するイスラエル側の無差別な空爆や地上侵攻は、今までとは桁違いに激しく4カ月以上続いています。ガザ地区ではこれまでに、子ども1万人を含む2万5000人を超える人がいのちを奪われ、6万人超が負傷しています(1月末現在)。
 病院、学校、人道支援機関の施設なども攻撃対象となり、40km×10kmの小さなガザ地区には、どこにも安全な場所がありません。電気や通信は遮断され、水や食料、燃料、医療物資なども微々たる量しか搬入が許可されず、人びとを飢餓と脱水、冬の寒さが襲っています。人口220万人のうち190万人が避難生活を強いられ、避難所では感染症などがひろがり、医薬品や電気に加えて医療従事者も不足しています。施設を破壊された病院は疲弊し、負傷者すらも適切な医療を受けられない、まさに生き地獄の様相です。

■国際社会が生んだ問題

 この問題は10月7日に突然勃発したのではありません。パレスチナ人が何世代にもわたって暮らしてきたパレスチナの地に、イスラエルが建国を宣言した1948年から始まっているのです。
 想像してみてください。突然自分たちの街が占領されて避難を余儀なくされる。パレスチナ人というだけの理由で、壁で囲われた小さな地域に追いやられて移動の自由を奪われ、その小さな土地すらも侵食される。それ以外にもさまざまな権利を奪われ、圧倒的な力の差で制圧される、そんなことが75年間も続いているのです。
 一方で、イスラエルの強硬な態度や行動の原因は、国際社会が生み出したと言っても過言ではありません。世界各地でのユダヤ人迫害が、一部のユダヤ人にユダヤ民族だけの国をつくるという思想(シオニズム)を生み出し、イギリスの三枚舌外交(※)がもたらした混乱や、ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)が、その思想を強固なものにしました。国連は“解決策”として、ユダヤ人に有利な「パレスチナ分割案」を採択し、パレスチナ側の合意なしにイスラエルが建国を宣言。その際、75万ものパレスチナ人が国内外で難民となりました。

※ 第一次世界大戦中にイギリスがパレスチナの土地について、アラブ人、ロシアとフランス、ユダヤ人のそれぞれと異なる協定を結んだ外交政策。

■私たちにできること

 国際社会はこの占領状態を75年間も放置してきただけでなく、多くの国が10月7日以降のイスラエルの行動を“自衛権”の名のもとに、擁護・黙認し続けています。日本も、その国際社会の一員です。これまで現地の人びとからは、日本への戦後復興に対する敬意や、平和な国としての信頼を感じることが多々ありました。しかし今回、日本政府がイスラエルの自衛権を擁護する国と歩調を合わせていることに、人びとは大きな不信感を抱いています。
 現在、パレスチナで何より求められているのは、恒久的な停戦です。「停戦もなしに支援物資だけを送って、それが人道か? 私たちは停戦を求めているんだ!」とガザの人びとは毎日悲痛な声をあげています。JVCは緊急支援活動と並行して、日本のNGOなどとともに、日本政府に停戦に向けた外交努力を求め続けています。国際問題にも真摯(しんし)にとりくみ、世界の平和をリードするような政府にするためには、私たち一人ひとりの行動が必要です。
 また、知ること、それをひろめること、署名やデモ活動に参加して声をあげることなど、個人にできることもたくさんあります。世界ではガザの平和を願う人びとが何百万人、何千万人と集まり、停戦に向け大きな動きが生まれています。いま、一人ひとりが考え行動することが求められています。

(民医連新聞 第1799号 2024年2月5日号)